根室農業改良普及センター技術情報 ほ育期の管理~餌の給与方法について

ほ育期の管理~餌の給与方法について
                       
(2005年6月)

 ほ育期はいかにスターター(人工乳など)を食い込ませて、いち早く第一胃を発達させるかが重要になってきます。
1 第一胃の発達が重要

 生まれたときの子牛は液状飼料(ミルク)を消化できるように第四胃が最も大きく、スターターを消化するための第一胃は発達していません。

 通常、スターターや粗飼料は第一胃で消化され、胃壁の絨毛から吸収されます。
 スターターを生後、早くから摂取させ、第一胃内の絨毛の発達を促すことが、第一胃での消化・吸収効率を高め、その後の発育に大きく影響を及ぼすことになります。(図1)
 さらに、ほ乳期間の短縮(労働力の軽減)にもつながります。

 

part2_fig3.gif 
ミルク + スターター + 乾草 を給与
 絨毛が発達している 
(^_^)

part2_fig4.gif 

ミルク + 乾草 を給与
× いまだに未発達な状態 
(T_T)

 図1  飼料給与の違いによる第一胃の内壁のようす(生後12週齢)

 (参考図)
 part2_fig2.gif 絨毛が発達している状況を拡大すると…
(図1飼料給与の違いによる第一胃の内壁のようす(生後12週齢)の左側 ミルク+スターター+乾草を給与した子牛の第一胃)

 ビッシリと絨毛がきれいに並んでいるのが観察できる。
2 給与のポイント
(1) 液状飼料(人工乳・生乳など)
  • 液状飼料は定時、定温、定量が基本です。
  • 環境温度が低くなるとエネルギーの要求量が増えます。
 ※ 寒冷期には高脂肪の代用乳を使用したりしてエネルギーを補う必要があります。
    ただし、寒冷対策を講じ、環境を改善することが前提です。
定時:  決まった時間
(ほ乳ロボットは別) 
part2_fig5.gif 
定温:  体温に近い温度
(40℃程度) 
定量:  4~8リットル(1回2リットル程度)
※牧場によって馴らし、離乳のための増減はある。 
(2) スターター
  • スターターは生後2日目くらいから給与し、徐々に増やしていきます。
  • その時、水を給与して食い込みを良くすることも重要になります。
 表1  水の給与が子牛の成長に及ぼす影響
生後から4週齢までの成績 

 水

 自由摂取

  無給与 

 日増体重(kg/日)

0.31 

0.18 

 スターター摂取量(kg)

 11.8

 8.2

 下痢に罹った日数(kg)

 4.5

 5.4

                                                                                          Kertz(1984)
  • 冬場は水よりぬるま湯を給与した方がよいようです。

「ぬるま湯を飲ませた方が子牛は元気だ」と言う、酪農女性からの意見も聞かれました。

  •  ほ乳の直後に水を給与すると下痢の原因になります。
 part2_fig7.gif

 ほ乳してから30分~1時間程度、時間を空けてから給与すると良いでしょう。

  • 乾草などの粗飼料の給与によって、 スターターの摂取量が制限されるのであれば…
    控えた方がよいでしょう。
 3 離乳の目安

  離乳の目安は、スターターの摂取量で判断するとよいでしょう。

 スターターを                             

  • 1日 に 1kg 
     あるいは
  • 0.5kg以上 を 3日間
             摂取できれば離乳できます。
      ※ 離乳の目安は、日本飼養標準(1999年版)P-40から解説されています。
       ※ 詳しくは、日本飼養標準(1999年版)をお読みください。

はやく、ちょうだい!

 

part2_fig8.gif 
 給与した飼料を有効的かつロスの無いように摂取させるためには、ストレスを与えない環境づくりが重要になってきます。
 次(ほ育期の管理~環境について)は、そのことについて説明します。

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