根室農業改良普及センター技術情報 サイレージ調製のポイント

サイレージ調製のポイント(異常発酵を防ぐために) 
H17普及奨励および指導参考事例P-82 より

(2006年5月)

 
 1 異常発酵はなぜ起きるのか?
  1. 高水分での調製(詰め込み)
  2. 異物(土、ふん尿など)の混入
  3. 詰め込み時の踏圧不足
  4. 収穫時期の遅れ

   など、いろいろと原因はありますが…
 普及センターがおこなった実態調査では、バンカーサイロの中心部に比べて側壁部の密度が極端に低い事例が多く、中には側壁部が、「ほとんど踏圧されていない」事例も確認されています。

 また、サイレージの乾物密度の指標値(180kg/立方メートル以上)を超えるものは全体の2割程度と「詰め込み時の踏圧不足」が要因の一つとなっていることが確認されました。

 2 踏圧不足となる要因は?
  1.  ハーベスターの大型化(高性能)
  2. 調製作業時間の短縮
  3. 踏圧作業者の経験不足
     
      などが要因となっている場合が多いようです。
 3 踏圧はどの位まで行うのか?

◎これまでの指標  「しっかり踏む」
 
◎これからの指標  圧縮係数
(一番草:2.0以上
(二番草:2.3以上

        ※圧縮係数: H17普及奨励および指導参考事項 P-82(根釧農業試験場)

 計算式は…
tyousei_hay_h17_fig1.gif
 図解すると、このようになります。
tyousei_hay_h17_fig2.gif
 4 踏圧係数とサイレージ品質の関係は・・・

 表1 現地農家のサイレージ品質と圧縮係数の比較
(サイレージ品質は現地農家の自己申告に基づく)

tyousei_hay_h17_fig4.gif

 
 圧縮係数が1番草で2.0 2番草で2.3以下 でサイレージ調整にミスを生じている 

 表2 圧縮係数とサイレージ品質の関係
tyousei_hay_h17_fig6.gif

 ※バンカーサイロの中心部では、圧縮係数2.0以上を目標に踏圧作業を行います。
 
   また、側壁部ではもっと強く踏圧し、圧縮係数をできるだけ高くするように作業をしなければなりません。

 

 5 圧縮係数が上がらない原因は・・・
 (1) 搬入量が多すぎる
 ハーベスターの大型化によって、一回当たりの搬入量が多く「牧草拡散厚」が厚くなり、十分な踏圧が掛からなくなります。
 複数のバンカーサイロに「同時に詰め込む」など、十分な踏圧作業ができるように作業時間を確保するための工夫をしてください。
 tyousei_hay_h17_fig7.gif

tyousei_hay_h17_fig8.gif

 

 できるだけ薄くしなければならない
 
 (2) 踏圧に不適当な作業車を使っている。

tyousei_hay_h17_fig10.gif

 ※根釧農業試験場の調査では、
 バックホーによる20 回の踏圧作業は、
ホイールローダでの1 回踏圧ぐらいの効果しかない。
                  との報告があります。
(注意事項)
 試験に供試されたバックホーは、無限軌道型(キャタピラ式またはクローラ式)です。
 バックホーにもホイール型のものがありますが、今回は試験されていません。
 
接地圧が低いバックホーでは、踏圧が不十分である 
(3) 踏圧の作業順序が間違っている。
 ※踏まなければ密度は上がらない。
 tyousei_hay_h17_fig12.gif
 

 間口方向から見た良好な踏圧

  • 踏圧後の牧草断面が中窪みになるように
  • サイロ壁より高くならないこと

 詰め方にも「順序」があります。

 

tyousei_hay_h17_fig14.gif 

tyousei_hay_h17_fig15.gif 
 並行方向の踏み込み

tyousei_hay_h17_fig16.gif 
斜め方向の踏み込み

 tyousei_hay_h17_fig17.gif

 

品質の良いサイレージを作るためには…

 
 
踏圧不足の要因は 
  1. サイロ内での牧草の拡散が不十分
  2. 踏圧に使用する車両の接地圧が低い
  3. サイロ側壁の踏圧(際踏み)が不十分
 
踏圧不足の解決は 
  1. サイロ内での牧草拡散を30cm以下にする
  2. 踏圧する車両はホイール型にする
  3. サイロ壁際を念入りに踏圧する

おいしいサイレージを作ろう!

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