使いやすい水平サイロ用の重石(タイヤ)の作り方
(2007年6月)
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多くの水平サイロの重石(おもし) として、古タイヤが利用されています。
タイヤの1本の重さは、40kg~50kgと非常に重いのが欠点で、シート掛け後の「タイヤ載せ作業」は、かなりの重労働となっています。
また、タイヤは内側に雨水が溜まりやすく、衛生面の観点から見ても、大きな問題があります。
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そこで、普及センターは、これらの問題解決の手法として、
- 重石(タイヤ)の軽量化
- 衛生上の問題解決
を地域に提案することにしました。
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具体的には…、古タイヤ1本から2枚の重石を作る。
その方法を平成19年6月11日に根室農業改良普及センター北根室支所管轄で行われた研修会から紹介します。 |
当日は、独立行政法人家畜改良センター十勝牧場から講師を招いて行いました。
また、開催に当たりJA中標津、研修会場とし(有)中標津ファームサービスのご協力をいただきました。ありがとうございました。 |
講師の十勝牧場飼料課の坂本氏(左)と蓼内氏
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完成品(重石3ヶ分)
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1.準備するもの |
ドリル
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ジグソー
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作業台
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古タイヤ
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マーキング用のスプレー
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冷却用のスプレー
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ゴーグル
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角材
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【揃えるときの条件】
- 電気ドリル ~ 径10ミリ以上のもの ジグソー刃の幅以上の大きさ
- 強力なジグソー ~ できるだけストローク数が多いもの、刃はバイメタルタイプ
- ゴーグル ~ 切断クズの中にワイヤークズもあるため、目やメガネの保護に必ず着用
- 作業台 ~ 50cmくらいの高さ 天板は80cm×80cm位がよい
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2.作業手順 |
(1) 古タイヤを作業しやすいように固定します。
タイヤの中の泥や水を洗い流す
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角材をタイヤにはめ込み固定する
(角材でタイヤを固定することで作業性が向上)
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使用した角材
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作業台に古タイヤをのせる
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今回使用した作業台
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(2) 古タイヤの側面の外側から5センチ程度のところにドリルで穴を開ける。
※この穴からジグソーを使って切り始める。
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(3) 開けた穴にマーキングをしておく。
(穴の位置がわからなくならないため)
まとめてタイヤに穴を空ける場合は必ずマーキングを。
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(4) ドリルで開けた穴からジグソーを使ってタイヤの側面を切り抜く。
※作業台の安定性が悪いとジグソーの振動でタイヤがグラつきジグソーの刃が折れる危険が高まる。しっかりとした作業台が必要。
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右写真の様に、タイヤの側面をグルリと切っていく。 |
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※1本のタイヤから2枚の切片を作るのに準備から完成まで概ね7分程度かかります。 |
3.作業の注意点
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- ジグソーの刃が非常に熱くなるので、片面を切り終えた直後に冷却スプレーを使用しながら作業する。(1~2秒噴きつけて冷却する)
- できるだけ早く切断作業を行う。
(切断に要する時間は片側で約1分程度。早ければ早いほどよい)
- ジグソーの刃は熱で切れにくくなるので、途中で作業を中断し、冷却スプレーで刃を冷やす。
(とにかく刃の熱をモータに伝えない。←故障の原因となる)
- ジクソーの連続使用時の規定を守る。
- ジグソーの刃の冷却に水は使用しない。
(ジグソー本体に刃の熱が伝わり故障の原因になる)
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切断に時間がかかる場合は、
途中でジグソーの刃に冷却剤を吹き付け、
刃の熱がモータに伝わらないようにします。
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※タイヤによってワイヤーの位置が異なるのでワイヤーの多い位置を避けて切断する |
作業中、ジグソーのコードが邪魔になります。
写真のように上に吊っておくと、作業の邪魔にならず、つねに一定方向の作業ができます。 |
切断後のタイヤは、写真のように切断したワイヤーが露出します。
シートの上を転がして運搬すると穴を空けてしまう危険があるので注意して下さい。 |
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4.完成 |
完成した重石
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水平サイロにのせて使用
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◆作業は、安全に留意して行って下さい。
監修:独立行政法人家畜改良センター十勝牧場
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