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最終更新日:2018年11月21日(水)

スラリー春施用の実態とサイレージ発酵品質改善対策

 (2008年9月)

 

1.背景

 昨年までの調査で、スラリーの春散布がサイレージの発酵品質および乳牛の生産性に影響していることが確認できました。
 そこで今年度は、スラリー春施用がサイレージ発酵品質に影響すると思われる要因(時期、量、性状)とその実態把握に向けた調査を行っています。
 今後はスラリー春散布の影響を解決するための対策の検討を行う予定です。

 

2.調査内容

 (1) 春スラリー散布量、時期、性状(EC、乾物率)の確認調査

 (2) 良質発酵農場と不良発酵農場の散布量調査、収穫時調査、バケツサイロ試験

 (3) スラリー散布 各種試験
  ・普通量、半分量の試験
  ・加水でうすめたスラリーと普通のスラリー試験
  ・散布時期(5月上・中・下旬)による試験
  ・ばっき(1週間、3日間)による試験

 3.調査結果 
(1) 春スラリー散布量、時期、性状(EC、乾物率)の確認調査
  • スラリー散布量と圃場への窒素還元量を調査したところ、一定の相関があった。(図1)
  • 発酵品質が良好な農場では、散布量が多くても、一部加水等で濃度を薄めて散布している事例もあった。(図1の青い点)
  • 散布日は5/9~5/19で、早い農場で連休明けから散布を開始している。(図2)
  • 散布量は0.8~2.0t/10a、上旬散布の平均は0.9t/10a、中旬散布の平均は1.3t/10aであった。(図2)
  • 前年度発酵品質が良好な農場では、散布量が少ないかもしくは加水していて、窒素の還元量は少なかった。

図スラリー散布量と圃場への窒素還元量
図1 スラリー散布量と圃場への窒素還元量
 

画像図2 スラリー散布日と散布量
図2 スラリー散布日と散布量
 

(2) 良質発酵農場と不良発酵農場の散布量調査、収穫時調査、バケツサイロ試験

 ア スラリー散布量の違い

図3  良質サイレージ農場 0.9t/10a 
図3  良質サイレージ農場 0.9t/10a 

画像図4 不良サイレージ農場 1.5t/10a
図4 不良サイレージ農場 1.5t/10a

イ スラリー散布後の状態の違い (散布14日後)

画像図5 スラリー付着の様子はない 0.9t/10a
図5 スラリー付着の様子はない 0.9t/10a
 

図の6スラリーが付着している 1.5t/10a
図6 スラリーが付着している 1.5t/10a

 ウ 1番草刈り取り後の状態 

図7 スラリー残査は少ない  0.9t/10a 

図7 スラリー残査は少ない  0.9t/10a 

画像図8 スラリーが地面に付着 1.5t/10a
図8 スラリーが地面に付着 1.5t/10a

(3) スラリー散布 各種試験
    ・普通量、半分量の試験

  前年度、春スラリー散布サイレージとスラリー散布無しサイレージで、サイレージ発酵品質に違いが確認されました。
 今年度は散布量の違いによるサイレージ発酵品質の違いを確認するため、1農場に依頼し、10haの草地を半分に分けて少ない量と普通量でスラリーを散布した。今後、サイレージ発酵品質を確認します。

図の9半分量スラリー(1.3t/10a)
図9 半分量スラリー(1.3t/10a)

画像図10 普通量スラリー(1.7t/10a)
図10 普通量スラリー(1.7t/10a)

 4.スラリー散布小規模試験(散布時期、加水、ばっき)
 小規模試験では、4m×4mを1区画として、スラリーを1.5t/10aに換算して、それぞれの試験区(下参照)に散布した。
 
試験区 

上旬散布 

中旬散布 

下旬散布 

1週間ばっき 

3日間ばっき 

半分加水 

散布時期 

 5/1

 5/12

 5/28

 5/7

 5/12

 5/12

(1)スラリー上旬散布区と下旬散布区の違い
 

図11  スラリー上旬散布区(5/1)

図11  スラリー上旬散布区(5/1) 

図12  スラリー下旬散布区(5/26)
図12  スラリー下旬散布区(5/26)

 スラリー下旬散布区では、伸びた牧草の上にかかり牧草が倒れた状態になった。

 

(2)収量調査結果
  • スラリー散布時期では上旬、中旬、下旬の順に草丈が長く、収量が多かった。
  • ばっき1週間区、ばっき3日間、加水区では、加水区のみ収量が少なかった。
  • 硝酸態窒素試験紙の反応は、スラリー下旬散布区のみ反応があった。 (上から3番目)
  • 慣行区での収量が少ないのは、肥料散布が5月20日頃と遅れたことが関係していると考えられる。
  • スラリーの肥効時期も下旬より上旬の方がより高いことが考察された。

 表10 春スラリー散布小規模試験区 収量調査結果

 

散布日 

草丈
(cm) 

収量
(kg/10a) 

乾物率
(%) 

乾物収量
(kg/10a) 

 上旬散布  5/1

 92.4

 2,010

 20.8

 417

 中旬散布  5/12

 90.8

 1,680

 21.1

 354

 下旬散布  5/26

 82.2

 1,530

 21.2

 324

 ばっき1週間  5/7

 74.7

 1,730

 21.1

 365

 ばっき3日間  5/12

 76.0

 1,720

 21.7

 374

 半分量加水  5/12

 76.2

 1,400

 20.5

 287

 無散布  -

 71.6

 1,010

 22.9

 231

 今後、バケツサイロを開封し、粗飼料分析、発酵品質の確認を予定している。

 

 5.春スラリー散布農場バケツサイロ調査

 春スラリー散布農場サイレージ調製3利用組合9戸、春スラリー散布なしのサイレージ調製2戸の計11戸についてバケツサイロを作成した(6/22~7/6)。

 

表11 バケツサイロ試験農場 
  スラリー
散布日 
散布量
(t/10a) 
添加剤  詰込日 
 A   5/14  0.94  乳酸菌  6/30
 B   5/10  0.91  乳酸菌  7/3
 C   5/14  2.02  乳酸菌  7/6
 D   5/14  1.54  ギ酸  6/27
 E  5/14  1.23  ギ酸  6/30
 F  5/15  1.04  ギ酸  7/3
 G  5/12  0.86  なし  6/12
 H  5/16  0.82  なし  6/16
  I  5/13  1.77  なし  6/13

 バケツサイロの開封後
(10月上旬予定)

  • サイレージ発酵品質確認
  • 粗飼料分析
  • 乳牛による嗜好性試験の実施を予定している。
 6.春スラリー無散布の動き
  春スラリー調査対象農場のうち、アンモニア態窒素が高い、乳房炎がおさまらない、水分が高い等の理由で、今年度5農場が春スラリー散布を中止しました。
  • 既存施設変更せず、1番草刈り取り後と2番草刈り取り後散布(2農場)
  • 新規簡易ラグーン建設の上、1番草刈り取り後と2番草刈り取り後散布(1農場)
  • 更新草地+サイレージ用とうもろこし圃場への投入(2農場)
  この他にも、施設的に春に散布せざるを得ない農場でも、
  「散布時期を早めた」、
  「いつもより少なく散布するようにした」
 という農場が増加しました。

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