スマートデバイス表示はこちら

ホーム > 産業振興部 > 根室農業改良普及センター >  根室農業改良普及センター技術情報 適期刈り取りの推進


最終更新日:2011年9月30日(金)

粗飼料の栄養価を高めよう!~適期刈り取りの推進~
                          
(2009年1月)
                                     根室地域班

 根室地域班では重点普及課題として、湖南地区を対象に「経営体質の強化によるゆとりある酪農経営の確立」を目指した支援を行ってきました。
 今年度は、これまでの「乾乳牛の飼養管理改善」に加え、「良質粗飼料生産」への支援にも取り組んでいます。 

 

1.粗飼料の栄養価を高めよう!

【取組の経過】

 湖南地区10戸の農場のうち9戸はロールベールサイレージ体系です。
 ロールベールサイレージは、刈り取り、予乾、集草、ベール、ラップ等々、収穫に係わる作業工程が多く、短期間にサイロに詰め込んでしまう細断サイレージと違い収穫期間が長くなる特徴があります。
 ですから、収穫を始めた最初の方は適期刈りで栄養価を確保することができますが、最後の方に収穫したものは刈り遅れとなり、低栄養の粗飼料となってしまいます。
 雑草が多い、草地更新が進まない等、栄養価の低下には他にも要因がありますが、まずは「適期刈り取り」をしよう!ということになりました。

 
 そこで、「根室地区では7月5日までに刈り取りできれば栄養価を確保できる」という根釧農試の調査結果(図1)をもとに、この時期までに刈り取る割合をできるだけ増やそうという提案を行いました。

根釧農試の調査から7月5日までの収穫であれば
TDNの低下が少ない。
→7月5日までを適期として収穫を推進

収穫日と乾物収量・TDN収量・TDN含量

図1 収穫日と乾物収量・TDN収量・TDN含量 [H19根釧農試]

 具体的内容は以下のとおりです。

  • 7月5日までの刈り取り目標を8割にする
  • 収穫のスタート時期を、今までより一刈り分(=3日程度)以上早める
  • 過去のデータから降水確率の低い6月20日前後に収穫を始める(図2)

6~7月の3日間連続降水量0mmの確率 
図2 6~7月の3日間連続降水量0mmの確率 [出展]

 

 【取組みの結果】
 各農場の収穫作業は以下のとおりとなりました。(表1)

 

 表1 各農家の収穫作業状況〔普及センター調べ〕

 農家

オペレーター
(人) 

収穫日数
(日) 

収穫面積
(ha) 

1日当たり
作業面積
(ha/日) 

収穫期間 

収穫の特徴 

 2

 12

40 

3.3 

6/15~7/14 

6/15から収穫 

B 

 2

 9

61 

6.8 

6/26~7/10 

1度に大面積刈り取り、
作業オペレーターを雇用 

C 

 2

12 

51 

4.3 

 6/26~7/10

テッターの作業回数を減らし、
作業の効率化

D 

 2

10 

50 

5.0 

 6/26~7/10

ほ場集積 

平均 

 2

 10.8

50.5 

4.8 

 6/24~7/11

 

 
 今年は6月20日頃から降雨が続き、全体的に収穫のスタートが大幅に遅れましたが、各農場の作業効率化の努力もあり、7月5日までに7割を刈り取ることができました。
 粗飼料分析の結果は以下のとおりとなり、TDN62%以上のサイレージが多くなりました。(図3) 

刈り取り日とTDN含量
図3 刈り取り日とTDN含量
 

 【今後の課題】 

  • 原料草の品質を高める草地管理
  • サイレージ発酵品質を高めるための作業方法の検討
  • 収穫作業の効率化

 

2.乾乳牛の飼養管理改善 

 
 【取組の経過】
 周産期疾病の低減による所得向上を掲げ、乾乳後期の給与飼料改善に取り組んでいます。
 具体的には、乾乳後期のミネラルバランスの調整による乳熱の予防を提案しています。これまで取組んできた農家では周産期疾病が減少し始めています。
 今年は、引き続き給与飼料改善の支援を行う他に、「乾乳牛管理学習会」を開催しました。その中では、昨年の取組みとその結果を提示し、あらためて乾乳牛管理の重要性と管理ポイント、今後の課題等を提案しました。

 乾乳牛管理学習会の様子
写真1 乾乳牛管理学習会の様子

 【取組みの結果】
 (1) 周産期疾病の減少
 給与飼料改善に取り組む農場は昨年から1戸増え、地区の半分の農場が取組むようになりました。取り組んだ農場では、昨年から引き続き疾病の発生が減少しています。
 特に、未実施農場と比べて乳熱、第四位変位、胎盤停滞の発生率が低下しています。一方で、ケトーシスが増えていることも分かりました。
 周産期疾病の変化
         図4 周産期疾病の変化 [NOSAIデータより]

 

(2) 個体乳量の増加
 周産期疾病の減少により、個体乳量も増加しています。

 取組み農家の個体乳量の変化(C農場)
     図5 取組み農家の個体乳量の変化(C農場)
 経産牛1頭当たり乳量の変化
         図6 経産牛1頭当たり乳量の変化

 

【今後の課題】

  • 放牧期の乾乳牛給与飼料改善
  • 乾乳牛用施設の整備(栄養管理およびカウコンフォートの向上を目指して)

  根室農業改良普及センターのTOPページへ     技術情報(粗飼料生産)の目次へ