根室農業改良普及センター営農技術情報 令和3年5月

初乳と移行乳の衛生管理

 子牛の下痢発症リスクを減らし、病気に強い子牛を育成するためには、衛生的な初乳と移行乳の取り扱いが必要です。そのためには、搾乳器具の洗浄および初乳の保存管理が重要です.今回は「バケットミルカーの洗浄」、「搾った後の初乳の保存方法」、「ほ乳容器の洗浄」の3点について確認します。

 

1.バケットミルカーの洗浄

 

 バケットミルカーの洗浄は、パイプラインミルカーやパーラーシステムと同じように毎回のアルカリ洗剤の使用と3~4日に1回のアルカリ洗浄もしくは毎回の酸リンスが必要です。また、ミルククローのタイプによっては、頻繁に分解洗浄が必要な物もあります。パッキン周辺(写真1)も洗い残しが発生しやすいので、洗浄後の確認が必要です。

 

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写真1   汚れのつきやすい上蓋裏側           

 

 

 

2.搾った後の初乳の保存方法     

 

 

 搾った初乳や移行乳の保存は細菌の繁殖防止が重要で、バルク乳と同じように4℃以下で冷却保存する必要があります。搾乳後2時間ほど水冷却して余熱をとり、その後、冷蔵保存(写真2)するのが理想です。冷蔵できない場合は、蓋が出来る容器で水冷却します。冷蔵では最大1日保存できます。2日以上保存する場合は、冷凍保存する必要があります。冷凍保存の場合は、最大1年ほど保存可能です。

 

 

 また、パスチャライザーを用いて初乳や移行乳を加熱殺菌することで、より確実で衛生的な給与ができます。ただし、元々細菌が多く含まれる場合は、パスチャライザーを使用しても殺菌不十分になってしまうので、

 

(1)乳房炎牛による生乳は使用しないこと

(2)使用後のパスチャライザーはバケットミルカーと同様の手順で洗浄し、清潔に保つこと

 

の2点に注意する必要があります。

 

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写真2   冷蔵庫内に保存された初乳

      

 

 

 

3.ほ乳容器の洗浄

 ほ乳ボトルやバケツは、洗い残しがないように注意が必要です。まだ免疫を獲得していない子牛に細菌を飲ませないよう、洗浄の手順と注意点をご確認願います。

 

 

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                                 写真3   おすすめの形状の洗浄ブラシ

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図    ほ乳ボトルの汚れやすい部分                     写真4   ほ乳バケツの汚れやすい部分

         

 

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