雑草が多い圃場の一番草収穫
いよいよ牧草収穫が始まります。取り付け道路の整備、ほ場出入口の枝払い、サイロと周辺の整備、資材の調達・・・など準備万端に整えて、事故の無いように作業を進めましょう。
リードの収穫目安は6月10日
採食量の低下を防ぐため、地下茎型イネ科草種が優先する草地を早めに収穫する場面があります(写真、図1)。
リードカナリーグラス(和名:クサヨシ)の利用効果が高いのは、出穂直前の穂ばらみ期の収穫です。根室管内の調査によると、1番草では6月10~15日頃で、草丈80cmが目安です。
写真 こうなる前に収穫
図1 牧草収穫のタイミング
早刈りの注意点
根室管内で早刈りする場合、年によっては1番草収穫時の天候が安定しなかったり、3番草まで収穫しても年間収量がやや減ってしまうことがあります。また、2番草以降も採草利用する場合、3番草までの収穫が必要です。これらの対策事例を図2にまとめました。
図2 雑草を早刈りする場合に考慮すること
いつもより早めの準備を!
サイレージ調製する場合は、水分を75%いかに落とすことが重要です。理由は水分が75%を超えると発酵品質が極端に低下する場合があるためです。特に地下茎型イネ科草種は乳酸菌が利用できる単少糖含量が少ないため、乳酸発酵が進みにくい特徴があります。
天候がぐずつくリスクを回避するため、細切サイレージの場合、あらかじめギ酸を用意しておくことも選択肢の一つです。開花までの期間は、収穫が遅れると草量が増えて乾きにくくなります。早めに収穫できるよう収穫準備も早めにスタートします。
コントラクターや利用組合の場合
コントラクタであれば、比較的利用者が少ない時期の収穫となります。雑草の多い圃場を選んでスポット的な早刈り利用も考えられます。作業機の稼働率を高める上で、繁忙期以外の受注はコントラクタにとっても利点があります。最寄りのコントラクタに相談してみると良いでしょう。また、利用組合では図3のようなローテーションの工夫を行っている事例があります。
1回目の収穫時に雑草が多い圃場を優先的に収穫し、2回目のローテーションで植生の良い草地や新播草地を中心に行います。この方法は、収穫時期を2回に分けることで、悪天候による収穫リスクを分散することもできます。
図3 収穫ローテーションの工夫事例
サイレージ収穫を分業化している場合は、事前に意見調整が必要な場合もあります。できるところから進めていくことをおすすめします。
早く刈ると採食量が驚くほどふえることがあります。給与時は、いつもより多めの給与量になることをお忘れなく!