根室農業改良普及センター営農技術情報 平成30年6月

サイレージの二次発酵に注意を!

 乳牛の暑熱対策が必要な季節になりました。気温の上昇は乳牛にはもちろん、サイレージにも影響を及ぼします。特に気温上昇はサイレージの二次発酵を助長します。今回はサイレージの二次発酵防止について考えてみましょう!

二次発酵によるサイレージの変化と乳牛への影響

1.サイレージの変化

 

 サイレージの二次発酵とは、開封後、サイレージに付着している酵母やカビ、好気性細菌などが空気に触れ、サイレージ中の糖や乳酸を消費して熱を持つことです。二次発酵を起こすことによって、サイレージ自体の栄養成分の減少や、消化率が低下してしまいます。

 

2.乳牛への影響

 

 二次発酵したサイレージを給与することによって、乳牛の栄養不足や乾物摂取量の低下を引き起こします。

 暑熱ストレスの影響で採食量が低下してしまい、二次発酵サイレージを採食することで、さらなる栄養不足に陥り、生乳生産性の低下や繁殖成績の悪化、乾乳牛の場合は周産期疾病を招きます。また、カビが発生したサイレージを乳牛が採食すると、カビ毒による流産や受胎率低下などにつながります。

二次発酵防止対策について

 良質なサイレージを給与できるように次のことに注意しましょう。

 

1.サイレージの取り出し方法

 

 サイレージをサイロ上部から崩すように取り出しましょう(写真1)。

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写真1  上から削り落とす

 

 タイヤショベルのバケット等でサイレージを下からすくい上げるように取り出すと、内部まで空気が入り込み、二次発酵が起こりやすくなります(図1)。

 

 

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図1  下からすくい上げた取り出しは、内部に空気が入ってしまう

 

2.サイレージの取り出し量

 

 サイレージの取り出しは1日で、奥行き30cm以上のサイロ1面を取り出せるようにしましょう。サイロ幅が広く、奥行き30cm以上のサイロ1面を1日で取り出せないと、空気にふれている時間が長くなり、サイレージが二次発酵してしまいます。もし、バンカーサイロの幅が広い場合、サイレージの詰め込み高さを低く抑えたり、夏専用の小さいスタックサイロを作るのもひとつの方法です(写真2)。

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写真2  夏専用の小さいスタックサイロ

 

3.サイレージの取り出し向き

 

 夏場の取り出しは直射日光がサイレージ取り出し面に当たらないように、北口から取り出すようにしましょう。取り出し面に直射日光が当たってしまう場合、シートを垂らしてサイレージ表面に日光が当たるのを防ぎます(写真3)。

 

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写真3  シートを垂らして日光を防ぐ

 

 忙しい季節となりますが、農作業事故に十分注意して下さい。

 

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