平成19年度酪農技術の再点検01根室農業改良普及センター北根室支所

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 1 乳検データで飼養管理の問題点チェック
 
 乳検データには、牛群の飼養管理に関する情報が数多く記載されています。牛群検定成績表の「検定日乳量階層表」をチェックし、 現在の飼養管理の問題点を見つけ出す3つの方法について紹介します。
(1)乳量階層のチェック 

 ア 泌乳曲線
  乳量階層表に「乳量曲線」を描く。

ア) ピークが、不明瞭。持続性の悪い事例
q1fig1.gif
  

イ) ピークが、明確。持続性の良い事例
q1fig2.gif
 
              図1 泌乳曲線のチェック ~ ピークは?持続性は? 

泌乳ピークが不明瞭、持続性が悪い原因

  • 乾乳後期の管理ミス 
  • 分娩前コンディションの不適
  • 乾物摂取量の不足
  • 泌乳初期の栄養給与の失敗
  • 栄養不足(エサの絶対量不足)
イ  飛び出し乳量の算出

49日以下の平均乳量と頭数から飛び出し乳量を求めます。飛び出し乳量とは、分娩から概ね5日目前後の乳量のことです。 この飛び出し乳量が、その後のピーク乳量 ・1乳期の産乳量に大きな影響を与えます。飛び出し乳量の3kgの差は、1乳期の産乳量としてほぼ1,000kgの差となります。

 

飛び出し乳量 =

(初産49日以下の平均乳量×頭数) ×(2産以上の49日以下の平均乳量×頭数) 
                      49日以下の総頭数 

 表1 飛び出し乳量の算出
 

※ 事例の飛び出し乳量(表2より)
{(23.3×5)+(31.5×4)}÷ (5+4)=242.5÷9=27kg 

 

 初産牛の目安 25kg以上 
 経産牛の目安 30kg以上
 表2 検定日乳量階層

検定日
乳量
階層

頭数

 1産

2産以上 

 49日以下 49日以下 
      kg
50以上
 40
 35
 30
 25
 20
 10
9.9以下

  頭

 3
 4
11
16
12
 

 頭






 

 頭






 

 平均乳量

 23.3

 31.5

 ア) 飛び出し乳量が低い

  • 乾乳後期の管理に問題あり
  • 育成牛の飼養管理(初産の場合)

 イ) 飛び出し乳量は順調だが、
  ピーク乳量が低い

  • 分娩直後(産褥期以降)の飼養管理
    に問題あり
 
(2) 乳成分のチェック
  1. 乳脂率3.5%以下をチェック  
    乳脂率が低い→エネルギー・繊維(NDF)不足
  2. 蛋白率3.0%以下をチェック
    49日以下で、乳脂率が高く、乳蛋白率が低い→ 乾乳期の管理に問題
                                  エネルギー・蛋白不足

 表3  乳成分のチェック ~ 異常値はどれ?

 

検定日
乳量階層 

頭数 

1産

2産以上

対策 

49日
以下

50日
~ 

100日
~ 

200日
~ 

300日
以上 

49日
以下

50日
~ 

100日

200日
~ 

300日
以上

搾乳100日以内
の牛群の蛋白率が低い。 
 乳脂(%)

4.30

3.60

3.88

4.05

4.50

3.82

3.77

3.85

3.67

4.46

 蛋白(%)

3.00

2.60

3.09

3.33

3.60

2.99

2.92

3.09

3.34

3.29

  • 体脂肪動員により急激にやせている(BCSの急激な減少)
  • 泌乳初期の栄養管理
 
(3) 体細胞数のチェック 
 体細胞数30万/ml以上をチェック
ア.初産牛の49日以下で高い

  ア)育成管理に問題あり

 

イ.2産以上の49日以下で高い

  ア)乾乳牛の環境が悪い、乾乳期治療がうまくいっていない

  イ)分娩前後の環境

 

ウ.泌乳後期が高い

  ア)  過搾乳になっている可能性が高い

 

エ.全乳期が高い

  ア)  分娩前後の環境や泌乳後期の搾乳衛生等全般的な改善が必要


表4  体細胞数のチェック ~ いつ高くなる? 
 

検定日
乳量
階層 

頭数

 1産

2産以上

対策

49日以下 50日~ 100日~ 200日~ 300日以上 49日以下 50日~ 100日~ 200日~ 300日以上 泌乳後期に乳房炎の発生が多い。過搾乳の可能性あり。
体細胞数(万) 

7

5

5

8

76

2

13

23

17

44

リニアスコア 

2

1.6

1.7

2.4

5

0.5

1.8

25

3.7

4

検定日
乳量
階層 

頭数

 1産

2産以上

対策

49日以下 50日~ 100日~ 200日~ 300日以上 49日以下 50日~ 100日~ 200日~ 300日以上 全乳期をとおして、乳房炎の発生が多い。乾乳期治療や搾乳中の衛生管理の見直しが必要。
体細胞数(万) 

42

9

31

17

18

31

23

7

48

39

リニアスコア 

5

25

3.5

3.1

3.5

4.1

3.1

25

4.6

4.5

 

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