平成19年度酪農技術の再点検07根室農業改良普及センター北根室支所

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 7  乳房炎予防のためのミルカー管理

 乳房炎は乳頭口からの菌の侵入で起こります。乳頭口が傷んでいると、菌の侵入する危険性が高くなります。乳房炎を防ぐには、乳頭口を傷めないということが重要です。搾乳立会を通して様々な問題点が見られますが、その中でも、ミルカーの管理について説明します。

 

(1) ゴム類の交換 

 

〔ライナーゴム〕  
  劣化しているかどうかは、ゴム手袋を着け、ライナー内部を指でこすってみて、指先が黒くなったり、黒い筋がついてきたら、いたみがあり、ひび割れしています。これでは、搾乳時に開閉がうまくいかないので、乳頭へのマッサージが不完全となり、搾乳時間が長くなります。その結果、過搾乳につながり、乳頭口を傷めることになります。

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図1 ライナーゴムの交換

  対策→3ヶ月毎、最大使用しても4ヶ月(但し、シリコン製の場合は6ヶ月毎)毎に交換する。
  但し、各メーカー指定の交換時期が原則
 

 交換時の注意点

  • 中で捻れないように上下にある「▽や→」などの印を合わせる。シェルのショートエアーチューブ差込み口に 印を合わせると、合わせやすい(図1)。
  • 次回交換日を記録しておく
 
〔チューブ類〕 
  劣化しているかどうかは、チューブを見てひび割れや亀裂があるかどうか確認します(写真1)。劣化していると、搾乳時、エアー漏れの原因となり、乳頭にかかる真空圧(クロー内圧)の変動も大きくなります。その結果、乳頭口を傷めることになります。 q7fig2.gif 
写真1 ミルクチューブのひび割れ
 対策→1年毎に交換する。
  但し、各メーカー指定の交換時期が原則。

 (2) ミルクホースの長さの調整

 搾った牛乳がクローから配管に行くとき、真空圧に差が生じます。ここでミルクホースが長すぎると、この差が大きくなり、乳頭にかかる真空圧(クロー内圧)も低くなります。これは、過搾乳につながり、乳頭口を傷めることになります。また、長すぎると、ユニットを正しい位置に装着できず、ライナースリップが起きやすくなります。 

 対策→乳房の位置にユニットを持っていき、牛床につくほどたるまない長さに切断した
             り、針金などのフックを使って調整し、牛の体に沿わすようにします(写真2)。
 
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写真2 ミルクホースの長さの調整 

 写真3 フックの利用 

 (3) ミルクインレットの向き

 現 況→向きが、配管の真横だったり、真上になっている場合があります(写真3)。クロー内真空圧が不安定になり、乳頭口を傷める原因となります。

 改善点→正しい向きは、時計の時針で11時(逆から見た場合、1時)の向き(図2)なので、確認します。

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 写真3

図2 ミルクインレットの向き 

 

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