平成19年度酪農技術の再点検08根室農業改良普及センター北根室支所

kita19top.gif

 8 乳質向上は乳頭清拭がポイントです

 

 乳頭清拭が細菌を減らすカギです。

 細菌が搾乳中に乳頭口から乳房内に侵入すると乳房炎が発生します。牛の乳房や乳頭表面にはたくさんの細菌が存在しています。適正な乳頭清拭によって搾乳前に乳頭表面の細菌をできるだけ減らし、細菌が乳房内に侵入するリスクを減らすことが乳房炎発生を防ぐ重要なポイントです。

 

(1) 布タオルの準備 

 清拭用の布タオルは、搾乳毎に洗濯をして、汚れと有機物を除去しなくてはなりません。布に付着した細菌は、洗濯することによって、その大部分を除去する事ができます。また、搾乳までの間に雑菌に汚染されないようにキチンと保管します。

 

 (2) 布タオルの搾乳前殺菌

布タオルを殺菌液に浸し乳頭を清拭します。この時、殺菌液の効果を低下させないために

  1. 適切な濃度や温度で殺菌液を作ること
  2. 牛乳や糞等の有機物を混入させないこと    が大切です。

項目 

 処理方法 処理後、乳頭付着
細菌数(CFU/ml) 
付着菌数の減少度
合いによる判定 
 タオル枚数  数頭に1枚

 2,807

 
 1頭1枚

 112

 有効

 拭き方  タオル1面のみ使用

 1,187

 
 タオル4面を使用

 60

 有効

乾燥の有無  清拭のみ

 148

 
 清拭+乾燥

 70

 有効

 (十勝農協連 市野氏提供資料より)
図1 乳頭清拭方法による乳頭付着細菌数の比較

 
乳頭の清拭
4か条 
1頭1枚以上のタオルを使用して
タオルの4面を上手に使い
乳頭口を念入りに
清拭後、さらに乾燥させると効果が倍増する 

 (3) 清拭の方法

 清拭の第1の目的は、乳頭表面、特に乳頭先端部にある乳頭口をできるだけ清潔な状態にすることです。
 数頭を布タオル1枚で清拭するより、1頭1枚以上の布で清拭した方が明らかに乳頭表面の細菌数を減少させることができます。また、一頭一枚で搾乳している場合でも、その拭き方によって乳頭表面の付着細菌数の減少する割合が違ってきます。できるだけきれいな面を使用して4本の乳頭を拭くことによって、汚れを他の乳頭に再付着させずきれいにすることができます。
 乳頭清拭は、側面だけでなく、乳頭口を念入りに拭くことが重要です。乳頭口が1番汚れやすく、拭き取りもしづらく、細菌が残りやすい箇所です。乳頭の側面を拭いた後、乳頭口を入念に拭き取りましょう。

 

清拭前 

清拭後

 q8fig2.gif  q8fig3.gif

 (4) ミルカー装着前の乳頭乾燥

 乳頭に付着した水滴には、多くの細菌が含まれており、搾乳時に生乳に混入する危険があります。また、乳頭が濡れていると、搾乳時にライナースリップの原因となり、ミルククロー内の真空圧が変動し、乳汁が乳槽内に逆流し乳房炎を引き起こします。ミルカー装着前には、乾いた布かペーパータオルで乳頭の水分を除去し、乳頭を完全に乾燥させましょう。

 

前へ 

 目次へ

 次へ

根室農業改良普及センター ホーム > 刊行物目次   

カテゴリー

cc-by

page top