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10 蹄病予防のために
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最近農場で目立つ問題に「蹄病」があります。蹄病はエサ摂取量の減少や繁殖行動が弱くなる等、確実に牛にダメージを与えます。蹄病の発見方法と発生予防のための削蹄方法について考察します。
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(1) 蹄病の要因
※ 乳牛の蹄の健康管理マニュアル(根室版 平成13年3月)より
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主な要因
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主な対策
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栄養学的要因 |
飼料中のデンプンの過剰
有効センイの不足
溶解性タンパク質の過剰
不良発酵飼料の給与 |
ルーメン内の発酵や通過スピードを考慮した飼料メニューの検討 |
環境及び管理要因 |
寝起き行動の制限
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乳牛の安易な寝起き行動、横臥時の安楽性、衛生面を考慮した牛床の改善 |
蹄底、趾間の外傷
- 通路の床面の整備不良
- 糞尿やぬかるみによる蹄の湿潤
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蹄底、趾間への外傷をさけるための乳牛のハンドリング、通路や床面の保守管理 |
蹄の過剰伸長
- 飼槽や水槽の構造と状態による牛の姿勢
- 削蹄不足、削蹄不良
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正常な蹄の負面を得るため適正な削蹄の乾燥と消毒 |
遺伝的要因 |
球節、飛節の不適切な角度
先天的な骨格不良 |
淘汰、遺伝的な改良 |
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(2) 蹄病発見のための観察ポイント |
- 横臥反芻頭数が少なく、起立反芻頭数が多い
- 飼料給与や掃き寄せ作業に対する反応が鈍い
- 採食目的以外の起立状態が多い
- 歩様や起立姿勢に異常がある(写真)
このような行動がある場合には、蹄病の疑いがありますので早急に対策を実施しましょう。
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歩様や起立姿勢に異常がある牛
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(3) 蹄病予防のための定期削蹄 |
ア 削蹄の効果
図1は、蹄疾患の治療頭数が多い農場で削蹄回数を年1回から2回に変更した結果、蹄疾患の治療頭数は減少し蹄病の低減効果が得られた事例です。
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図1 削蹄回数と蹄病治療頭数
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イ 削蹄回数
年間に必要な削蹄回数は、蹄の成長量と摩耗量の差し引きによって決定されます。削蹄後の内蹄と外蹄の負面(蹄と地面が接触している部分)面積の差は、削蹄後4~6ヶ月目にかけて大きくなることから、蹄の健康を維持するためには4~6ヶ月間隔で削蹄する必要があります。
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ウ 削蹄方法
(ア) 定期的年2回の全頭一斉削蹄
(イ) 牛の状態による削蹄
定期的に全頭削蹄を実施することが困難な場合は、優先的に削蹄する牛を選びます。
- 歩様に異常が認められる牛
- 分娩2~3ヶ月前の牛
- 体格の大きい牛
- 過去に蹄病、跛行経験がある牛
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