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最終更新日:2012年6月27日(水)

酪農Q&A part 2   平成17年度営農技術資料
 発行:北根室地区農業改良協議会
 編集:根室農業改良普及センター北根室支所

 〔草地管理〕

 Q11 スラリー散布の注意点は? 

 A  散布量に合わせた施肥管理や散布タイミングなどに注意しましょう
 
1.スラリー過剰施用の影響

 牧草地へのスラリー散布はメリットがある反面、過剰施用した場合は粗飼料や環境に悪影響を与えます。

 

 -過剰施用の影響-

  1.  牧草の倒伏 - 窒素の過剰(スラリー中の窒素含有量は堆肥の約2倍)
  2. マメ科率の低下 - 窒素過剰による根粒菌の活性の低下
  3. 牧草中の硝酸態窒素の増加 - ・春先のスラリー散布は特に注意!
                         ・スラリーは堆肥に比べて速効性
  4. 牧草中の加里の増加 - ・スラリーは加里含量が堆肥より多い
                     ・年間の糞尿還元量が堆肥よりも多くなる
                            → 牧草中のカリウム含量が高まることによりカルシウ
                               ムやマグネシウムの吸収が抑制され、乳牛へ悪影響
                               の危険性がある。
  5. 土壌や周辺環境の汚染 ← 土壌への集積、地下水への移行

    上記のような牧草や土壌への悪影響を避けるためには、スラリー散布に合わせた施肥管理を実施することが重要です。
 
 
2.スラリー散布に合わせた施肥管理
 (1)糞尿分析の実施 

図1 春散布の場合 普及センター調べ

図1 春散布の場合 普及センター調べ

図1は農家別の、スラリー1tに含まれる牧草が利用可能な肥料成分含有量です。この図からわかるのは…

○ 全窒素と加里では牧場間の大きなバラツキがある
○ 加里含量割合が高い

 つまり、牧場毎にスラリー成分値に合わせ化学肥料の選択と散布量を検討することが望まれます。糞尿成分の簡易分析は、肥料メーカーや普及センターでも行っています。 
B農家のスラリーは
A農家の、
全窒素で12倍
加里で4倍
の成分量が含まれる。
 
 
 

 -糞尿成分の変動要因-

  • 貯留形態(スラリーストア←→地下ビット)
  • 貯留槽の設置場所(パドック等からの雨水の混入)
  • 爆気、パーラー排水の流入
  • 乳牛の飼養管理(飼養給与、飼養環境ほか)
 (2)加里含量の低い肥料の選定
 
スラリーは3要素のうち加里含量が高くなっています(図1)。
スラリー散布を行う場合、加里含量の低い肥料銘柄を選択することも対策の一つです(表1)。
 
表1 加里含量の低い肥料銘柄の一部
銘柄 窒素 リン酸 加里
888 8 28 8
207 12 10 7
121 10 20 10
555K 15 15 5
NP58 15 18 0
 ~施肥例の比較(図1のB農家のスラリーの場合)~
 組み合わせる肥料によって肥料成分の過剰や不足が起きます。特にスラリー散布の場合、下記の施肥例のように目標値を超え、加里過剰になることが多くあります。
 
○圃場条件…春2t・秋2t/10aスラリー散布、採草地、マメ科率5%未満
窒素 リン酸 加里
目標値(施肥標準) 16 8 18
              (kg/10a・年間)
 
※121との組合せ
   窒素  リン酸  加里
スラリー4t
121 90kg 

6.1

 2.4
18     

 16.4
9

 合計

 15.1

 20.4

 25.4

 
 →




! 
 
 ※555Kとの組合せ
  窒素  リン酸  加里 
スラリー4t
555K  60kg 

 6.1
9

 2.4
9

 16.4
3

 合計

 15.1

 11.4

 19.4

 
→ 





い 
 

 図2は、ある別々の農家の土壌診断結果です。
 スラリー散布に合わせた施肥選択を実施しなかった場合、D農家のようなバランスの崩れた状態になるおそれもあります。

 過剰施用はエサにも環境にも悪い・・・

C農家
C農家

D農家
D農家
 

 牛

 図2 -外側の円:基準値上限域 内側の円:基準値下限域-

 (3)春散布の注意点

 

○散布作業を外部委託する場合、作業の進歩状況の確認
→ 散布作業が大幅に遅れた場合の対処法を事前に検討
(委託しているのは自分の牧場だけではなく、天候により遅れることもある)
○草地の融雪状況の確認
○リノベーター等の利用による土壌改善 → 水はけ、融雪の向上
 

 春先のスラリー散布から1番草収穫までの期間を空けるために、可能な限り早い時期に散布するための散布計画を立てておきましょう。  トラクタ 

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