平成18年度 グラスランド2 堆肥の特性と利用上の注意

 

 p00.gif    平成18年営農改善資料
    発行:北根室地区農業改良協議会
    編集:根室農業改良普及センター北根室支所

 

〔家畜ふん尿の特性と活用〕 

2 堆肥の特性と利用上の注意
 
(1) 堆肥の特性
  1. 麦稈、乾牧草等の副資材を多く含み、土壌改良的な要素が大きいです。
  2. 窒素は有機態窒素が多く含まれ、肥効は緩効的で持続的です。
  3. スラリーと比較すると石灰、苦土の養分含量が2倍近く含まれます。
(2) 利用上の注意
  1. 腐熟の程度や貯留状況により水分や窒素含量の差が大きいです。
  2. 牧草地に散布した堆肥の収穫時混入に注意が必要です。(前項参照)
  3. 病原菌や寄生虫、雑草種子を死滅、減少させるためには、切り返しを行い、好気性微生物による高温発酵(50℃以上)をさせて、完熟化させる必要があります。

表2 堆肥中の養分含量(原物中kg/t)

  試料数 水分 P2O5 K2O CaO MgO
平均値 198点 73.6% 4.6 3.0 3.1 4.2 1.4
(平成11年 根釧農試)
 3 スラリーの特性と利用上の注意
(1) スラリーの特性
  1. 有機物含有率が低いため、土壌改良効果はあまり期待できません。
  2. 固形分の多い堆肥よりも速効性の肥料として効果が期待できます。
  3. 全窒素の約半分がアンモニア態窒素です。
(2) 利用上の注意
  1. 速効性なため散布時の濃度障害に注意が必要です。
  2. 貯留形態等より成分値にかなりの差があり、分析による成分の把握が必要です。
  3. 粘性が高く曝気が困難です。スカムの生成を防ぐために定期的に撹拌します。

 

表3 貯留施設形態別のスラリー養分含量(原物中kg/t)
 施設形態   試料数 水分 P2O5 K2O CaO MgO NH4-N
 全 体 平均値 183点 92.4% 3.6 1.6 3.8 1.8 0.7 1.7
スラリーストア 平均値 46点 91.2% 4.0 1.6 4.4 1.9 0.8 1.8
地下ピット 平均値 37点 91.2% 4.0 1.7 4.0 1.9 0.8 2.0
ラグーン 平均値 30点 93.5% 2.8 1.4 3.3 1.8 0.8 1.3

(平成11年 根釧農試)

 
 4 尿の特性と利用上の注意
 (1) 尿の特性
  1.  有機物含有率が低いため、土壌改良の効果はほとんど期待できません。
  2. 施用時には比較的分解されやすく、化学肥料と類似した効果があります。
  3. 窒素で3.7kg/t(原物中)程度、カリはその2倍近い6.2kg/t(原物中)程度含まれます。
(2) 利用上の注意 
  1.  カリの含有率(原物中)が特に高く、施用時のカリ過剰に注意が必要です。
  2. 原尿を直接散布すると牧草の濃度障害が起き易く、希釈して利用する事が好ましいです。
 
表4   尿の養分含量(原物中kg/t)
  試料数 水分 P2O5 K2O CaO MgO NH4-N
平均値 129点 98.0% 3.7 0.3 6.2 0.3 0.3 2.1
(平成11年 根釧農試)
 5 固液分離液の特性と利用上の注意
 (1) 固液分離液の特性
  1.  スラリーと異なり固形分がかなり除去され粘度が低下しています。
  2. 処理はスラリーに比較し粘性の低い固液分離液では扱いが容易です。
  3. 雨水が混入する貯留施設であっても発生するスカムの量が少なく、処理がし易いです。
  4. 窒素の約半分がアンモニア態窒素であり、速効性の肥料としての効果が期待できます。
 (2) 利用上の注意
  1. 速効性なため散布時の濃度障害に注意が必要です。
  2. 貯留形態等より成分値にかなりの差があり、分析による成分の把握が必要です。
表5   固液分離液の養分含量(原物中kg/t)
  試料数 水分 P2O5 K2O CaO MgO NH4-N
平均値 19点 97.2% 1.8 0.9 2.2 0.9 0.4 0.9
(平成11年 根釧農試)

 

 

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