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ホーム > 産業振興部 > 根室農業改良普及センター >  平成18年度 グラスランド2 維持草地の施肥 北根室管内の現状


最終更新日:2012年6月18日(月)

 グラスランド2    平成18年営農改善資料
    発行:北根室地区農業改良協議会
    編集:根室農業改良普及センター北根室支所

 〔維持草地の施肥〕

 草地は、牧草収量が経年的に安定していれば、それだけ良質粗飼料確保の計画が容易になります。
 しかし、造成段階で優良品種を播種した草地も、経年化が進むにつれて植生が悪化し、収量、栄養含有率の低下が見られます。
 そこで、合理的な施肥技術を駆使することによって、植生を維持しながら長期に渡って高生産を維持しましょう。
 

 1 北根室管内の現状 

 

(1) 土壌の現状

 平成16年度の維持草地の土壌分析結果から、北根室管内の土壌の傾向を見てみると、次のようになります。(図1)
 維持草地土壌(地表から5cm深)において、カリは61.0%の草地が過剰傾向にあります。リン酸と苦土は、約30%の草地が不足していますが、逆に約50%が、基準値以上であることから、施肥時には増肥、減肥を行い、合理的な施肥を行うことが望ましいでしょう。

図1 平成16年度 土壌分析結果 
 図1 平成16年度 土壌分析結果

 

(2) 草種の現状

 中標津町の草地更新時における播種組み合わせをみますと、平成13年から17年までの5年間を通じて、チモシーの中生混播型が半分以上を占めています。(表1)
 10年前までは、チモシーの早生混播型が主流でしたが、数年前からチモシーの中生型が増えてきています。

表1 更新時の播種組合せ
種子型 播種実績の推移(%)
平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年
早生型 26.6 45.9 49.1 30.8 31.8
中生型 71.2 49.9 48.3 66.4 64.3
晩生型 2.2 4.2 2.6 2.8 3.9
                        (普及センター調べ)
 管内で播種されるイネ科牧草は、チモシーが大部分で、採草利用タイプが多く、成熟期は極早生品種から晩生品種まで育成されています。
 チモシー品種とマメ科牧草の具体的組合せは、次のようになります。(表2)
表2 根釧地域におけるチモシー熟期別品種とマメ科品種の組合せ
熟 期 チモシー品種 アカクローバー品種 シロクローバー品種
早生品種 ノサップ、オーロラ ナツユウ、マキミドリ リベンデル、ソーニャ
中生品種 キリタップ、ホクエイ クラノ ソーニャ、リベンデル
晩生品種 ホクシュウ、シリウス タホラ、フィア
 図2に牧草収量の経年変化について示しました。 
 更新後2~3年で最も収量が多くなりますが、その後は徐々に減少しています。
 これは、マメ科草の経年化に伴う衰退、レッドトップ、シバムギ等の地下茎型イネ科雑草の増加によるものです。  
 このような状況から、草種、播種型に合わせた施肥計画が必要となります。
図2 経年変化による収量推移例  (道農政部「牧草生産利用実態調査」)

図2 経年変化による収量推移例  (道農政部「牧草生産利用実態調査」)

 

 牧草収量は、主に草種構成によって決まります。そのため、施肥管理は草種構成に対応して変える必要があります。
 そのためには、採草地の植生タイプ(混播牧草草地でのマメ科の割合)を的確に把握する必要があります。(表3)

 
表3 採草地の草種構成による区分
 植生
 区分
特            徴
 
  1
 
チモシー・アカクローバー・シロクローバー混播草地
 造成(更新)後の経過年数が2~3年の比較的新しい草地。
 チモシー50%以上、マメ科率30%以上の草地。
  2
 
チモシー・シロクローバー30%以下の混播草地
 アカクローバーは衰退しているが、チモシー50%以上、シロクローバーが1  5~30%を占めている草地。雑草の侵入は少ない。
  3

 
チモシー・シロクローバー10%以下の混播草地
 チモシーが50%以上、シロクローバーが5~15%、ケンタッキーブルーグラス、レッドトップ、シバムギ等の地下茎型牧草及び雑草の一部が侵入している草地。
  4
 
チモシー単一的草地
 チモシーが70%以上、マメ科率は5%以下。地下茎型牧草、雑草の侵入は比較的少ない草地。
  5
 
不良植生草地
 ケンタッキーやレッドトップ等の不良イネ科牧草やフキ、ギシギシ、シバムギなどの雑草の侵入が著しい草地。
 (3) 家畜ふん尿施肥の現状

 家畜ふん尿は、土壌物理性の改善や肥料効果が期待できます。また、干ばつ、低温等に対する抵抗力を増すなど、総合的な緩衝作用が期待できるので、有効に活用することが大切です。
 家畜ふん尿を維持草地に現物1トン施用した時の、牧草に供給される成分量を次に示します。(表4) 

 
表4 維持段階に堆肥、スラリー、牛尿により
      牧草に供給される成分量 (Kg/現物1t)
 
当年 2年目 当年 当年
堆  肥 1 0.5 1 3
スラリー 2 0.5 4
牛  尿 5 0 11
            (平成元年 土壌診断に基づく施肥対応:根釧農試)
 
表5 現行施肥標準から見た堆肥、スラリーの適正施用 (kg/10a)

植生
区分
標 準 施 肥 量

堆肥
施肥量(t)

堆肥からの供給量 スラリー
施肥量(t)
スラリーからの供給量
1 4 10 18 4 4 4 12 2  4 1.00 8
2 6 10 18 6 6 6 18 3  6 1.50 12
3 10 8 18 6 6 6 18 4.5 9 2.25 18
4 16 8 18 6 6 6 18 4.5 9 2.25 18
 植生区分は表3を参照
 黄地は、必要な養分が堆肥・スラリーだけで満たされている部分。
 表5では、家畜ふん尿より牧草に供給される量を基に、現在の施肥標準からみた適正な施用量を検討しました。スラリーを例にあげると、マメ科率30%以上の植生区分1の草地には、年間10a当たり2tを施用すると、これらの草地に必要な窒素は、すべてスラリーで供給されることになります。

 

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