平成18年度 グラスランド2 雑草対策 雑草繁茂によるデメリット

 

 p00.gif    平成18年営農改善資料
    発行:北根室地区農業改良協議会
    編集:根室農業改良普及センター北根室支所

 

〔雑草対策〕


1 雑草繁茂によるデメリット 

(1) 牧草収量の低下

 

 

ア 新播草地 

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図1  光の競合による害
 

  広葉雑草の生育により、図1のように、光がさえぎられ、牧草の発芽や生育を阻害します。
イ 経年草地 
 肥料分やpHが不足した経年草地では、低栄養条件に強い地下茎型イネ科雑草が増殖しやすくなります。 

 

(2) 牧草栄養価の低下

 イネ科雑草は、熟期がチモシーより早いものが多く、栄養収量の低下をまねきます。
 
(3) 嗜好性の低下
 イネ科雑草は、チモシーよりも嗜好性が劣るため、乳牛の乾物摂取量の低下をまねきます。
 
 2 主な強害雑草と特性
 
(1) ギシギシ類   
  •  長大な葉が広範囲を覆う。薬剤等で駆除しても跡が裸地として残ることがある。
  • 1株当たりの種子数は、約1万個におよび、未熟な種子でも発芽能力を持つため、密生することが多い。
  • 乳牛の体内を通過しても、50%以上の発芽能力がある。土壌中の種子も20年以上の発芽力を持ち、繁殖能力が高い。
  • 耕起による切断根でも、表層から5cm程度の深さの根から再生する能力を持つ。

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写真1 ギシギシ

 
(2) リードカナリーグラス   
  • 湿害に強く、根釧地帯で多く見られるイネ科多年草。
  • 草地では主に地下茎で繁殖するため、リードカナリーグラスのみが密生する状況も多い。
  • 熟期がチモシーよりも早く、通常の刈り取り時期に収穫したリードカナリーが多い牧草は栄養収量が落ちる。
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写真2 リードカナリーグラス
 
 (3) シバムギ 

 

  • 主に、地下茎で繁殖するイネ科多年草。
  • 熟期がチモシー早生種よりもやや遅い。
  • 刈取後の再生が弱く、2番草の時期にはより低収となる。
  • 施肥反応が高いため、多肥条件下では硝酸態窒素が高まる傾向にある。
 

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 写真3 シバムギ

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図2 シバムギの見分け方
(左;シバムギ←葉耳  
     右;チモシー←葉舌)

 (4) アメリカオニアザミ

  • 発芽後、1年目はロゼット(タンポポの葉のような状態)で越冬するが、2年目に抽苔し開花する2年草で、種子から繁殖する。
  • 葉は大型で鋭いトゲがあり、放牧地では牛が近寄らないため利用効率が低下する。
 
(5) セイヨウトゲアザミ   

 

  • 地下茎と種子の2種類の方法で繁殖する。このため、アメリカオニアザミと違って密生しやすい。
  • 葉はアメリカオニアザミよりも小型だが同様に鋭いトゲがあり、密生するために広範囲にわたって草地の利用効率が低下する。

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写真4 セイヨウトゲアザミ
 

 

 

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