平成18年度 グラスランド2 草種の特徴と種子組み合わせ 種子組み合わせの基本的考え方

 

 p00.gif    平成18年営農改善資料
    発行:北根室地区農業改良協議会
    編集:根室農業改良普及センター北根室支所

 

〔草種の特徴と種子組み合わせ〕

 

2 種子組み合わせの基本的考え方 
(1) 採草地
ア チモシー基幹混播草地
  • チモシーは極早生から晩生まで熟期別品種が揃っていますので、刈取り適期が明確な設計とします。このため、1ほ場に1品種とし、異なる品種との混播はしません。
  • オーチャードグラスやメドウフェスクとの混播は、競合力の差が大きいので避けます。
  • 2回利用を基本とし、極早生、早生品種においては、植生がよく生育条件によっては3回利用も可能です。
  • アカクローバとの混播は、チモシー極早生・早生種はアカクローバ早生品種と、チモシー中生品種ではアカクローバ晩生品種との組み合わせを基本とします。チモシー晩生品種ではアカクローバと混播はしません。
  • シロクローバとの混播は、チモシー極早生・早生種はシロクローバ大葉型と、チモシー中生・晩生種ではシロクローバ中葉型との組み合わせを基本とします。
イ オーチャードグラス基幹混播草地
  • 冬枯れを回避するため、越冬性の優れた品種選定を優先させます。
  • オーチャードグラス基幹混播草地では、3回利用を基本とし、2・3番草の収量性に優れた品種を選定します。
  • メドウフェスクを混播する場合には、兼用利用向け品種を選択します。
  • アカクローバとの混播は早生品種とシロクローバでは大葉型を用います。
 ウ アルファルファ混播採草地
  • 土壌凍結が深い根釧地域でアルファルファの利用をする場合は、単播での栽培は凍害で不安定になりやすいのでチモシーと混播して利用します。
  • アルファルファは、越冬性や永続性を考慮した品種(「ヒサワカバ」等)を基本とします。
  • アルファルファは、利用目的によりシロクローバとの混播組合せとし、播種量を調節します。
  • アルファルファは、発芽や越冬性を考慮して春播種を基本とし、播種限界は7月末です。
  • 排水良好で風当たりの少ない場所を選定する。
  • 更新時には適正なpHに土壌酸度を矯正する。

 チモシー主体アルファルファ混播草地では、組み合わせるチモシーは早生種とし、同時に組み合わせるシロクローバは大葉型とします。
 この場合、アルファルファはチモシー・アカクローバ混播草地におけるアカクローバの代替的マメ科牧草の位置づけです。
 アルファルファ主体チモシー混播草地では、組み合わせるチモシーは極早生から中生まで選択は可能です。同時に組み合わせるシロクローバは中葉型とします。アルファルファ主体草地は、高い蛋白質生産を目的とした混播組み合わせです。この場合、チモシーはアルファルファの凍上を防止するための位置づけです。
 いずれのタイプにおいてもシロクローバは、裸地を埋め、アルファルファ株数が減少した際の補完を目的とします。

 
利 用 目 的 アルファルファ チモシー シロクローバ
チモシー主体アルファルファ混播草地
(永続性を重視:維持年限を長く)

  5
  早生
   18
中~大葉型
 (2)
アルファルファ主体草地(アルファルファ50%以上の草地) 
 15
極早生~中生
10~12
 中葉型
 (2)
 ※ 下段:1ha当たり播種量(kg)
 
 (2) 兼用地
 ア チモシー基幹混播草地
  • 混播するシロクローバは、小葉型もしくは中葉型を用います。
  • アカクローバは混播しない。
  • メドウフェスクを混播すると秋の草量不足を補完できます。
    メドウフェスクは、放牧・採草兼用種(「ハルサカエ」等)とします。
 イ オーチャードグラス基幹混播草地
  • 1番草又は2番草採草利用後のいずれも放牧利用ができます。
  • メドウフェスクを混播すると秋の草量不足を補完できます。
    メドウフェスクは、放牧・採草兼用種(「ハルサカエ」等)とします。
  • シロクローバの混播は、大葉型を用います。
  • アカクローバは混播しない。
 (3) 放牧地
  ア チモシー基幹混播草地
  • 根釧農試が提示している「チモシー放牧利用法」を基本とし、晩生品種(「ホクシュウ」等)を用います。
  • シロクローバの混播は、放牧特性の優れた小葉型又は草勢の穏やかな中葉型を用います。
  イ オーチャードグラス基幹混播草地
  • 冬枯れの発生しやすい地帯は、越冬性に優れた品種を優先的に選定します。
  • メドウフェスクを混播すると秋の草量不足を補完できます。
    メドウフェスクは放牧専用種(「プラデール」等)とします。
  • シロクローバの混播は、草勢の旺盛な中葉型を用います。
 3 チモシーの播種量と混播組み合わせの考え方

 「根釧地域における熟期別チモシー品種とマメ科草の採草型組合せ」(H6根釧農試)では、「チモシーの適正な播種量は、1.2~1.8kg/10aの範囲内とし、播種床の状況及び播種機の性能に応じて勘案し決めることが望ましい。」とされています。ここでは、実生雑草との競合や、チモシー個体数の安定的な確保を最優先し、1.8kg/10aとします。 チモシーと混播するアカクローバ・シロクローバの播種量は、チモシーの植生確保のため過大にならないよう留意します。マメ科割合は30~50%を目標にしています。

 
表1 チモシー品種とマメ科牧草品種の組合せと播種量
  アカクローバ品種
(kg/10a)
シロクローバ品種
(kg/10a)


チモシー品種


1.8(kg/10a)

極早生種

  草勢の穏やかな品種
  早生 0.2
  大葉型シロクローバ
  0.2

早生種

  草勢の穏やかな品種
  早生 0.2
  大葉型シロクローバ
  0.2

中生種

  草勢の極めて穏やかな
  品種 
  晩生 0.2
  草勢の穏やかな
  中葉型シロクローバ
  0.2

晩生種


     -
  草勢の穏やかな
  中葉型シロクローバ
  0.2
※平成6年度根釧農試「根釧地域における熟期別チモシー品種とマメ科草の採草型組合せ」に改変加筆
 
 4 イネ科草種の出穂期と収穫適期
 チモシーの中にも、いくつかの品種があり、刈り取りに適する時期の違いから、4つのグループ (極早生、早生、中生、晩生)に分けられています。極早生種から晩生種まで約1ヶ月の幅があり ます。刈り取りに適する時期を4つに分散させることにより、ほぼ連続的に良質な牧草を収穫する ことが可能となります。

 

 出 穂 期  栄養収量が最大となるのは「出穂始~出穂期」で、約10日程度ある
 収穫適期  収穫適期は「穂ばらみ期」から「出穂期」で、約14日程度ある

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図1 根釧地域 基幹イネ科草品種の熟期別配列(根釧農試作物科)

 

 

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