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ホーム > 産業振興部 > 根室農業改良普及センター >  平成18年度 グラスランド2 草種の特徴と種子組み合わせ チモシー中生種・晩生種の活用促進


最終更新日:2012年6月18日(月)

 グラスランド2    平成18年営農改善資料
    発行:北根室地区農業改良協議会
    編集:根室農業改良普及センター北根室支所

〔草種の特徴と種子組み合わせ〕


6 チモシー中生種・晩生種の活用促進
 

 大型機械や共同作業、作業委託の導入で酪農家戸々の収穫期間は大幅に短縮されてきています。しかし、地域全体で見ると1番草の収穫期間は一ヶ月近くかかっています。
 また、規模拡大や家畜ふん尿処理に係る法律の完全施行によって早春のスラリーや堆肥散布の量も多くなってきています。
 牧草の栄養価、牧草への硝酸態窒素の影響などを考え、これからは、早生主体の草種構成ではなく、中生種・晩生種の導入も考慮していくことが必要です。

(1) 刈取時期別の栄養価
表1 チモシーの主要成分及びTDN含量(乾草)  乾物中%

  生育期

主  要  成  分

デタージェント繊維

 粗蛋白質 総繊維(OCW) TDN

   NDF  ADF

穂ばらみ期
出 穂 始
出 穂 期
開 花 期
結 実 期

  18.3     54.6     71
  12.6     60.9     63
  10.6     65.9     60
  9.5     71.1     55
  7.1     73.9     50

    56.6    29.7
    61.7    34.3
    64.8    38.2
    70.8    41.8
    73.0    43.2

                        (阿部亮 飼料特性情報)

 牧草の収量や栄養価は、生育ステージによって大きく変動します。牧草の生育ステージが進むとCPやTDNは低下し、繊維は増加します (表1)。生育ステージと伴に増加した繊維は乳牛に利用されづらい難消化性の繊維(ADF)が主となります。

(2) 収穫作業の実際

 現在、収穫されている品種が早生種(オーロラ、ノサップ、ホクセイ)にかたよった利用の中で、地域全体での1番草の出穂期と収穫作業の平年値を表2に示しました。

表2 北根室管内の生育ステージと作業状況

 

    生育ステージ

    作  業  状  況

出穂始 出穂期 収穫始 収穫期 収穫終
17年度
平年値
6月22日
6月21日
6月27日
6月26日
6月24日
6月25日
7月 1日
7月 3日
7月18日
7月21日

 北根室管内では収穫始から終わりまでには約1ヶ月を要します。個別経営でも収穫期間は2~3週間を要するのが通常です。共同作業体系でも組織全体での収穫期間は同じくらいかかります。この作業期間で早生種(オーロラ、ノサップ、ホクセイ)にかたよった作付けでは、かなりの面積が刈り遅れになっています。
 個別経営では1戸の農家内で、共同作業体系では、組合の中の牧場毎に収穫時期を考慮したチモシーの作付けを考えていく必要があります。

 

(3) サイレージへの堆肥などの混入 

  表3は原料草への堆肥混入がサイレージの発酵品質に与える影響について調査したものです。
 この表を見ると、サイレージ全体の発酵品質は、どの区もpHが4以下、VBN/TNが7以下で発酵品質としては良質であった。しかし、堆肥混入サイレージは、フリーク評点が酪酸含量の増加によって低下しており、乳牛への給与試験でも、採食量は少なくなりました。
 サイレージへの堆肥やスラリーの混入を少しでも減らすためには、10a当たりの散布量を少なくすることも大切ですが、散布から刈り取りまでの期間を少しでも長くし、草地表面での分解を少しでも進めることも重要です。
 また、サイレージへの堆肥や土砂の混入を最小限にするために、牧草を高刈りにする。
 バンカーサイロのエプロン、周辺の作業道路の舗装などを考える事も必要です。
 
表3 堆肥混合がサイレージ発酵品質に及ぼす影響
サイレージ pH VBN/TN*
(%)
フリーク評点**
無  処  理 3.75 5.1 100
腐熟堆肥4%混合 3.93 5.7 65
生堆肥4%混合 3.91 5.9 60
* VBN/TN=揮発性塩基窒素/全窒素
**堆肥混合によるフリーク評点の低下は酪酸の増加による
 (4) 牧草中の硝酸態窒素について
 北根室管内は土壌凍結が深く、春先、なかなかほ場へ入れません。そのため、どうしても早春のスラリーや堆肥散布は遅れがちで、6月に入ってからもスラリーを散布する場合も見受けられます。
 硝酸態窒素は、牧草体内でエネルギーを使って蛋白質に再合成され牧草の成長に使われます。 そのため、散布から再合成に使われるまである程度の期間が必要です。その期間は、散布量や散布後の気象条件によって変動しますが、根室管内では最低1ヵ月できれば1ヵ月半は必要です。
 春先の散布時期を早められないのならば、中生種や晩生種を導入して、栄養価を落とさずに刈り取り時期を遅らせる事を考えていく必要があるでしょう。
図1 尿施用量と牧草1番草中硝酸態窒素含量 
図1 尿施用量と牧草1番草中硝酸態窒素含量
        ※尿は春先に全量施用 (新得畜試1998)

 

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