エキノコックスとは、
エキノコックスは寄生虫の1種です。単包虫と多包虫の2種類があり、北海道のものは、多包虫のエキノコックスです。エキノコックスは、成虫(親虫)と幼虫(子虫)がいますが、成虫は主としてキツネに、幼虫は野ネズミに寄生しています。
成虫は卵をつくりますが、その卵が何らかの機会に人の口に入ると、腸で卵から幼虫となり、主に肝臓に寄生し、エキノコックス症という病気を引き起こします。
感染経路
(1) エキノコックスの成虫は、キツネの腸に寄生して卵をうみ、その卵が糞といっしょに排泄されます。
(2) この卵を木の芽や草の実といっしょにネズミが食べると、ネズミの体の中で卵がかえって幼虫となり、肝臓に寄生します。
(3) この幼虫が寄生しているネズミをキツネが食べると、キツネの腸の中で幼虫が成虫になります。
このようにエキノコックスは、通常、キツネとネズミの間の「食べる」「食べられる」という関係で生活しています。
エキノコックスが、キツネとネズミの間でグルグル回っているだけならば人には問題ないのですが、エキノコックスが寄生したキツネやその糞に直接さわったり、糞に汚染された山菜や沢水をそのまま口にすると、肝臓に幼虫が寄生して、エキノコックス症を引き起こす危険があります。
人がエキノコックスに感染するのは、卵が口から入ったときだけで、仮に幼虫が口に入っても感染しません。
ですから、人から人にうつることはありませんし、エキノコックス症に係っている豚や野ネズミから人に感染することはありません。
エキノコックス症とは、
エキノコックスが主に肝臓に寄生して起こる病気です。
感
染 |
卵が体内で幼虫になり寄生 |
第
一
期
潜
伏
期
|
数年から10数年位無症状の時期が続きます。 |
肝機能は正常域です。 |
血清検査でしばしば陽性。 |
腹部超音波検査,CT検査などで肝臓の病巣が認められます。 |
第
二
期
進
行
期 |
5年から10数年位経過。 |
初めのうち、肝機能は正常域です。 |
肝腫大に伴う上腹部の膨満・不快感などの不定症状がでます。 |
第
三
期
完
成
期 |
肝機能障害がおこります。
腹部症状の増強、発熱、黄疸などの症状がでます。 |
エキノコックス症は、放っておくとだんだん悪化して命にかかわることもありますので、早期に発見することが大切です。
少なくとも5年に一度は血清検査を受けて、感染してないことを確かめましょう。
エキノコックス症の予防
注意1 なま水、野生の果物や山菜などは
なまのまま口にしない!
人がエキノコックス症にかかるのは、エキノコックスの卵を口から取り入れたときだけですから、次のことに十分注意しましょう。
(1) 外出の後は、手をよく洗う。
(2) 野生の果物や山菜などは、よく洗うか十分熱を加えてから食べる。(卵は熱に弱く、煮沸ですぐ死滅す る。)
(3) 沢水や小川の水などなま水は飲まない。飲む場合は、煮沸してから飲むようにする。
(4) 井戸は、雨水・排水などが流れ込まない構造にする。
(5) 井戸の付近にキツネや犬を近づけない。
注意2 キツネに近づかない、近付けない。
犬の放し飼いはしない。
キツネが人家の近くまできて、糞といっしょに卵をまき散らすのは、たいへん危険な状態です。
キツネに餌付けをしたり、餌になるような残飯や生ゴミを放置しないようにして、キツネを人家に近付けないようにしましょう。
また犬もキツネと同じく、エキノコックスの成虫が寄生しますので、犬がネズミを食べることのないよう、放し飼いはやめ、飼育管理をきちんとすることが大切です。
エキノコックス症媒介動物対策について、当管内では、道立衛生研究所が平成11年度から、ドイツなどで行われている駆虫薬を散布し、キツネの保虫率を下げる取り組みを行っています。
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