衛生的乳質改善シリーズ⑧黄色ブドウ球菌による乳房炎の防除対策
黄色ブドウ球菌(以下SA)は、乳房炎の原因菌の中でも難治性の乳房炎を引き起こすこと でよく知られています。感染の拡大を防ぐためには、適切な対処を行うことが重要です。
1 SAの特性
バルク乳スクリーニング検査では、SAが検出されている例があります。このことは少なからず感染牛がいることを示しています。
SAは、乳房炎の原因菌の中でも感染が強力です。感染した乳汁から搾乳者(手)・ミルカーなどを介して他の牛に伝染するといわれます。
2 SAの対処方法
バルク乳スクリーニングによりSAが検出された場合、どの牛で、どの乳房から乳汁が検出したか、個体の特定が必要です。
予防の観点から乳房炎ワクチンを接種することで、発症したときの症状が軽減すると報告されています。治療・淘汰や乳房炎ワクチンの接種については、獣医師のアドバイスを求めましょう。
3 搾乳作業の対応策・事例
(1)手元を清潔に
搾乳は手袋を装着して作業を行います。
手袋が汚れたら、その都度水洗いし、殺菌剤入りの水で殺菌するなど、清潔を意識しましょう(写真1)。

汚れたらその都度水洗い
(繋ぎ飼い牛舎では専用バケツを用意する)


写真1 搾乳手袋の水洗い・殺菌の例
(2)ミルカーを清潔に
ミルカーが汚れた場合、殺菌剤入りのバケツに浸漬し、その後、乳頭清拭用タオルで拭き取り、清潔を保ちます(写真2)。


写真2 ミルカーの殺菌および拭き取り例(フリーストール・ミルキングパーラーでの事例)
(3)SA感染牛を集めて新規感染を防いでいる事例
つなぎ牛舎内で SA 感染牛を集めて管理し、最後に搾乳することで感染を広げない対策をとっています(写真3)。
感染防止のために SA感染牛専用のディッパーを使用しています(写真4)。

写真3 SA感染牛を集めて管理する事例

写真4 SA用ディッパー
伝染性細菌であるSAは環境性細菌と異なり、酪農場から撲滅することができます。
できることから、対策をはじめましょう。
出典:根室生産農業協同組合連合会・根室農業改良普及センター
平成28年営農改善資料、令和2年営農改善資料

