H27遺産事業「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」展示会

 


~1945・夏 忘れてはいけない物語がある~
     「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」展示会eto100hidarimuki.jpg

  北方領土遺産発掘・継承事業のオープニングイベントとして、北海道立文書館が所蔵している「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」の展示会を行いました。
 

 

【展示会テーマ】
 ~1945・夏 忘れてはいけない物語がある~
 「千島及離島ソ連軍進駐状況綴』展示会」

  日時:平成27年8月28日(金)~平成27年10月5日(月)
  場所:道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)1階ロビー、2階ロビー

 

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※展示会の様子

 

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※「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」の表紙

 「千島及離島ソ連軍進駐状況綴」は、昭和20年8月15日の終戦以降、北方四島にソ連軍が侵攻してきた当時の根室支庁(※)と各島役場とのやり取りや、北方四島から脱出してきた島民・船舶関係者からの聴き取り記録などをつづった北海道の公文書です。

 この資料は、平成4年に根室支庁から北海道立文書館に引き渡され、永年保存されていますが、その存在自体が広く知られていないことや地元根室で目にする機会がほとんどないため、北海道立文書館の協力のもと、根室市内で展示会を実施することとしました。

この資料全体が一般向けに公開展示されるのは初めてでした。

※終戦当時の根室支庁は、国の管轄する行政機関でしたが、昭和22年に地方自治法が改正され、北海道が管轄する根室支庁(現在の根室振興局)になりました。

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※紗那村長からの電報

【第1回展示会】
 8月28日(金)~9月10日(木)には、「択捉島・国後島編」と題して、当時の根室支庁と択捉島・国後島の各役場とのやり取りが記録された文書を中心に展示会を実施しました。

 ソ連軍侵攻当初は、まだ一部の地域で通信機能が維持されていたため、根室支庁と各役場との連絡は、主に電信や電話で行われていました。

 択捉島の紗那村長から根室支庁長宛の電報(昭和20年8月30日)では「凡(あら)ゆる船舶の来島禁止せり」や「地方住民は六時より十九時迄外出自由」
と記載されており、島民がソ連軍により一定の制限を受けていたことがわかります。

 一方、「地方住民の生命財産 特に船競争入札(婦女子のこと)の身分保証す」とも記載されており、島民、特に女性や子供の生命財産は保証されていたことがわかります。     

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※色丹村長からの手紙

【第2回展示会】
 9月17日(木)~10月5日(月)には、「色丹島・歯舞群島編」と題して、前回展示できなかった根室支庁と色丹島・歯舞群島の各役場とのやり取りや、島から脱出した元島民から聴き取りした文書を中心に展示しました。
 
 また、通信機能が完全に奪われた国後島・択捉島から脱出した元島民に聴き取りした文書も併せて展示しました。

 色丹村長から根室支庁長にあてられた手紙では、島の状況や島民に対するソ連軍の対応等が記載されています。

 また、手紙の中には「通訳不十分にて総ては一方的に相手のなすがままなるは寔(まこと)に残念に存じ候」と書きつづられており、言葉も通ぜず交渉もままならない状況に、村長として何もできないことに憤りを感じていたことがわかります。



 

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