H28遺産事業「忘れてはいけない、モノがたり展」

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 北方領土遺産発掘・継承事業の一環として、元島民の皆さんがふるさとの島を追われた際に、肌身離さず持ち出した品々をお借りして、その一つひとつに刻まれている「忘れてはいけない物語」を多くの方々に知っていただきたいと考え「忘れてはいけない、モノがたり展」を開催しました。

 日時:平成28年8月25日(木)~8月31日(水) 9時~17時
 場所:根室振興局1階ロビー、中会議室

 

元島民の皆さんの思い出の品々

 「忘れてはいけない、モノがたり展」を実施するに当たり、元島民18名の方から55点の思い出の品々を提供していただきました。
 提供していただいた思い出の品の一部を紹介します。

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得能宏さん(色丹島)の思い出の品
お父さんが携行していた懐中時計
お父さんが内ポケットから懐中時計を出して見ている姿が、
子供ながらにとても格好良く見えたそうです。

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小川幸子さん(択捉島)の思い出の品
お母さんが愛用していた足踏みミシン
択捉島からの引き揚げ後もお母さんが大切に使っており、

学芸会用の服や制服などもこのミシンで作ってくれたそうです。

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佐藤信子さん(国後島)の思い出の品
生活を支えてきた漆器のお椀
引き揚げ時、ガラスや陶器の器では壊れてしまうため、
軽くて上部な漆器のお椀を選び持ってきたそうです。
樺太での収容所生活時に、このお椀にご飯をよそい、
蓋を皿代わりに食事をしていたそうです。
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福澤英雄さん(多楽島)の思い出の品
島で使用していた食器や家具などの数々
脱出後の生活のため、船に積めるだけ積んで脱出したそうです。
持ってきたもの一つ一つに大切な思い出が詰まっています。
今でも金庫や茶碗等を使っており、とても大切にされています。

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池田英造さん(国後島)の思い出の品
マッコウクジラの牙に彫り込んだ不動明王の像
おじいさんとおばあさんが島から脱出するときに
事故がないように願い、宝物にしていた不動明王を
大事に持ってきたものだそうです。

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富山清人さん(多楽島)の思い出の品
天びん秤など
島でヨードやカリの製造に使用していたものです。
脱出前にも島からの脱出後の生活に備え、
売り物となるヨードとカリを生産してから脱出したそうです。
「今では使い道なんてないけれど、島での暮らしを偲ぶ
とても大事なものだ」とおっしゃっています。

「忘れてはいけない、モノがたり展」の開催中の様子

 1週間という短い間でしたが、展示期間中には、根室管内の住民を始め、元島民や2世、3世の方々、次世代を担う学生さんなど数多くの方が来場し、島での生活に思いを馳せていました。

 

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根室振興局1階ロビーでの展示の様子
ガラスケースやパネルを用いて展示しています。
 
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根室振興局中会議室での展示の様子
当時の雰囲気を出すために畳の上に展示しています。
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展示期間中の様子1
展示期間中、約200名の方が訪れました。
展示物を見て島での生活を懐かしむ方や、
当時の生活に思いを馳せている方もいらっしゃいました。
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展示期間中の様子2
お孫さんと一緒に展示会に訪れ、昔の生活について
お話されていたのが印象的でした

 展示会に来場くださった方々は「とても大切に良い状態で保存されていることがすごいと思いました。昔の物がつくりもこまかくステキなものばかりです。たくさんの方に見てもらいたいと思いました。」「中には欲しくなる物もありました。」「戦前の暮らしが少し垣間見られた気がしました。大変な生活の中にもゆったりと流れる良き時代も感じることができました。何らかの折には展示してほしいと思います。」などの感想を述べられていました。

 ※忘れてはいけない、モノがたり展」展示物一覧表(PDF:81KB)
   こちらをクリックすると展示物の一覧が開きます。
 

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