ロシア生活文化講座 マナー編

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 食事をするとき、特に麺類を食べるときに日本人は音を出しますね。私たちは「それは絶対にやっちゃいけない」と躾けられました。私もお母さんにしかられたことがあります。例えば私たちがラーメンなどを食べるときは、箸で巻いたり、フォークで食べたりと色々工夫して音を殺して食べます。
 
 あと、私の家で結構問題になるものにスリッパがあります。玄関に上がって、そこで靴を脱ぐというのはロシアも日本も同じなんです。アメリカ映画のようにソファーに靴を履いたままくつろぐということはありません。ただ日本と違うのは、ロシアは家でスリッパに履き替えたなら、家の中どこでもスリッパで歩いていいんです。でも日本では和室をスリッパで入ることはありませんよね。私たち夫婦もそのことで何度も喧嘩しました。「どうして家の中のどこもきれいなのに部屋を差別するのか」と私は思ったのですが、日本人の夫はどうしても気になってしょうがないんですね。和室に入ろうものなら、「ナターシャ、スリッパ。ナターシャ、スリッパ!」と何度も言うんです。今は私もそれを理解して受け入れていますが、もし、みなさんがステイなどでロシア人を受け入れることがあったら、そんなことがあれば仕草でも良いですから「それはいけない」と示すことが必要かと思います。    
 
 最後に、お風呂の入り方です。ロシアの文化は浴槽にお湯を入れてその中で石鹸で体を洗うんです。浴槽の中で汚れを落とし、シャワーで濯ぐと言えばよいでしょうか。そしてそのお湯を流してしまい、次の人が入るときにはその人がまた改めてお湯を入れて使います。ロシアでは日本でいう水道の基本料金はかかるんですが、それ以上の使った分の使用料はありません。また、お風呂から上がったときに日本人は入り口で体を拭いて出てきますよね。  でも、ロシアでは違います。濡れたまま浴室から出てきてその辺を歩き回ります。ビチャビチャになってもかまわない習慣なんです。そういう違いもあります。
 また、小樽で今問題なんですが、サウナで外国人の入室を禁止しているんです。「ロシア人お断り」という掲示がされています。これは私が夫と初めてサウナに行ったときに驚いたことの一つでした。「なぜ、こういう差別をするのか」と思いました。でももし私が日本人であればビールを飲んで騒ぐロシア人が入っているサウナはやはり嫌だろうと思います。他のお客さんにも迷惑ですし。でも禁止するのではなく、それをまず直接文化の違う相手に伝えるということをしなければお互いに納得することができないのではないでしょうか?言葉で表現できなくても身振り手振りで「これはだめ」と伝えることができると思うんです。日本人とロシア人との付き合いを見てきて、私が一つだけ分かったのは、日本人は「これはやっちゃだめ」というのがなかなか言い出せない民族だということです。  日本の文化というのは、お客さんに対して注意するということが失礼だという気持ちが働くというか、言いづらい。だけどロシア人は自分が気になったことは相手に言うんです。それを相手が受け入れるか拒否するかは別の問題で、隣にうるさい人がいたら注意します。言わなければ分からないからです。ロシア人はそうされても傷つかない。そういう文化なんです。

 私たちは外国へ行くと、自分のやっていることが良いことなのか悪いことなのか分からないんですよ。相手に言われない限り「それはやってもいいんだ」と考えてしまいます。日本人が気を使って話さないのは、それはそれで日本の美徳でもあるんですが、何か気になることをそのままにしておいてはお互いのコミュニケーションがうまくいかないですし、注意することで分かってもらえたらそれで良いじゃないかと思います。  
 相手に「だめ」と言って良いということを理解して下さい。

 

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