乾乳牛を見直そう
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1 周産期疾病について
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酪農において、周産期疾病は生産に大きな影響を与えている。 図1は根室NOSAIN支所における分娩後30日以内の初診疾病を調査した。 |
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2 周産期疾病の関連
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乳熱、胎盤停滞、ケトーシス、第四胃変位の4つの疾病について初診・再診の割合と発症前の疾病を調査した。
初診では、乳熱が98%と高く、ケトーシス、胎盤停滞、第四胃変位の順になっている。
乳熱がケトーシス、胎盤停滞、第四胃変位の前歴となっている割合が、41%、39%、30%となっていた。
また、第四胃変位の前歴のうち、ケトーシスが28%あった。 このことから、最初に乳熱が発生し、次にケトーシスが発生し、最後に第四胃変位という流れが見える。
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3 乳熱の発生メカニズム
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カルシウムは筋肉収縮作用があり、血中カルシウムが不足すると、筋力低下・起立不能・食欲不振ついに昏睡状態となる。乳熱と呼ばれる症状を呈する。 血中カルシウム濃度が高レベルではカルシトニン(ホルモン)が支配し、血中から排出されるカルシウムが多い。 血中カルシウムが高レベルで分娩すると、上皮小体ホルモンが稼働しないため、骨から血中へのカルシウムの移動が遅れ、乳熱発生の引き金を引いてしまう。 乳熱予防には、分娩前に血中カルシウム濃度を低レベルにし、上皮小体ホルモンの活動を促す。 これにより、骨から血中へカルシウムの移動を促進する。 また、骨に蓄積が少ない場合、分娩前に乳熱が発生する。 |
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4 飼料給与のポイント | |||||||||||||
乾乳期は、カルシウム代謝の移行、乳腺の回復、胎児の成長、次回の繁殖の準備等の期間である。 正常な排卵には過去60~80日安定した栄養摂取が必要である。 乾乳期の栄養濃度が泌乳期の状態(乳量・繁殖)を決定する。 また、乾乳期にこれまでの低栄養の管理から極端な高栄養への移行は、胎児の急激な発育を招き 難産の原因となるので、次の乳期をかけてゆっくり栄養濃度の向上を図る。 粗飼料の十分な採食量を確保しながら、カルシウムがスムーズに動員される栄養管理が必要である。(第一胃の張りを観察)
乳熱を予防するため、乾乳後期のカルシウムとリンの濃度を調整する方法を説明する。
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(1)腹一杯食わせる | |||||||||||||
乾乳牛は、食い込みが落ちやすい時期である。 この時期に腹一杯食わせることが、周産期疾病防止の第一歩となる。 特に、乾乳牛の密度が高い場合、食い負けする個体が増え、周産期疾病を助長する。 写真1はお腹いっぱい採食できてる個体である。左側の肋骨の後ろが第一胃である。 この部分が凹んで、陰があるようでは採食が不足している。 |
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(2)カルシウムの蓄積と制限給与
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表 設計例のCa・Pの濃度
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(3)こんな粗飼料は与えない | |||||||||||||
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※血中イオンバランスを整える方法(DCAD)がありますが、カルシウム制限給与によるカルシウム管理を記載する。 |