根室農業改良普及センター営農技術情報 令和1年7月

黒毛和種も分娩前の管理が重要!!

  黒毛和種も乳牛と同様に、母牛と胎児の栄養充足、分娩後の初乳の品質や量を確保するために、分娩前からの十分な栄養摂取(特に蛋白質)が必要になります。産まれた子牛の体重が軽く、虚弱傾向だったり、貧血や白痢が多発している場合は、母子共に栄養不足が考えられます。まずは母牛に腹一杯食べてもらうことが必要です。粗飼料の品質はどうでしょうか?給与される粗飼料に合わせ、濃厚飼料の増給または加熱大豆粕などの蛋白質飼料の給与を検討しましょう(表1)。 

 目標とする生時体重は雄子牛で35kg以上(初産や田尻系の場合は雌子牛に準じる)、雌子牛で31kg以上です。

表1  分娩前の給与量の目安(日/kg) 
  分娩2ヶ月前  分娩1ヶ月前 
粗飼料(乾草・グラスサイレージ)         6.5~8.0        6.5~8.0 
 配合飼料(CP18   TDN72程度)        1.0~2.0        1.0~3.0
 加熱大豆粕           0~0.3           0~0.3

                 根室和牛マニュアルより抜粋

 

 

 分娩前(妊娠後期)に栄養を充足させることができれば、十分な生時体重が得られ、疾病にかかりにくい丈夫な子牛を生産することが期待できます。図1は、黒毛和種雄子牛の生時体重と日齢体重の関係を示したグラフです。生時体重が重いほど日齢体重が増える傾向があります。結果的に発育が良くなることで、出荷時の体重も増え、出荷価格の向上が期待されます。

 分娩前の増し飼いを実施して難産が増えた場合は、母牛の発育不良や、増し飼い開始のタイミング、無理な交配計画など、改めて農場の課題を洗い出し、飼養管理や交配計画を見直す必要があります。

 

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図1  黒毛和種雄子牛の生時体重と日齢体重の関係(普及センター調べ)

 

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