根室農業改良普及センター営農技術情報 令和1年8月

夏以降の放牧管理

 放牧草の再生量や栄養価は、季節により変動します。夏以降の放牧地の状態に合わせて放牧利用しましょう。 

1.夏以降草量が減少する

 

 夏以降は、放牧草の再生量が減少してくるため、牛の状態を見ながら、不足する草量や栄養を併給飼料などで補うことが必要な時期となります。

 

(1)食い込みをチェック 

  放牧草の食い込みが不足していないか食い込み不足のサインを確認してみましょう(下図・写真)。

 

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(2)繊維質飼料の給与

 放牧地での食い込みが不足する場合、放牧時間を短くし、パドックや牛舎でロールベールサイレージや乾草、購入乾草(ルーサンヘイ等)等を給与することや、ビートパルプなど消化性の良い繊維を含む飼料を給与して乾物摂取量を確保しましょう。

 

(3)掃除刈り、兼用地の利用

 

 大牧区では、草が伸びすぎて不食過繁草が多くなるため、掃除刈りを行い、栄養価の高い短草利用を検討しましょう。また、兼用地を利用できる場合、牧区面積を広げることも草量を確保する方法の一つです。 

 

 

 

2.夏以降も栄養充足させる

 

 

 春先に比べ草量だけでなく、牧草の栄養価も下がります(図1)。乳量や乳成分(乳タンパク・MUN)の変動、牛の状態(毛づやなど)を確認しながら、栄養が充足しているか確認しましょう(図2)。エネルギー不足の場合、「エネルギー飼料(圧ペンコーンなど)の増給(1日1kg程度)」を検討しましょう。タンパク不足の場合、「配合16号から18号に銘柄変更」や「大豆粕の増給(1日で200g程度~)」を検討しましょう。エネルギーとタンパクが共に不足する場合、配合飼料の増給を検討しましょう。

  配合飼料とエネルギー飼料の給与量の合計は、分離給与の場合、1回3kg程度を上限として、給与間隔は3時間以上空けるようにしましょう。増給量の調整は、便の状態(軟便になっていないか)や乳量、乳成分を確認しながら徐々に行いましょう。

 

 

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図1  放牧草のTDN含量推移(落合 1997)

 

 

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図2  乳タンパクとMUNから見た栄養バランスの指標

 

 

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