根室農業改良普及センター営農技術情報 令和1年11月

品質に応じた初乳給与について

  寒さが厳しくなり、人間も子牛も風邪を引きやすい季節ですね。免疫力の強い子牛を育てるために、初乳管理のおさらいをしましょう!特に預託の場合は、複数の農場から子牛が集まるため、自分の農場では経験のない疾病に罹る可能性があります。初乳により多くの抗体を付与してから預けることが重要です。

  子牛は免疫を持たずに生まれ、初乳に含まれる抗体を吸収して免疫機能を獲得します。初乳給与のポイントは、(1)なるべく早く(遅くとも12時間以内)、(2)抗体濃度の高い初乳を、(3)子牛が飲めるだけ(3リットル以上が目安)与えることです。今回は初乳の品質についてご紹介します。

 

1.糖度計を活用した初乳中の抗体濃度の判定

 

  子牛が摂取できる抗体の量は初乳中の抗体濃度×飲んだ初乳の量で決まります。飲む量には個体差があるため、なるべく早く抗体濃度の高い初乳を給与し、多くの免疫を獲得させましょう。

  初乳の抗体含量は初乳糖度と比例しています。糖度の高い初乳は冷凍保存しておくと、初乳の糖度が極端に低い場合(母牛の体調不良や漏乳があった時)や乳房炎、血乳のときに代用できるので便利です。

 

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糖度計(上の写真)

 初乳の糖度は糖度計で測定可能です。値は農場、個体によって差がありますが、良質な初乳の判断目安は糖度(Brix値)22%以上です。

 

 

2.初乳の給与判断

 

   免疫の特性は飼養環境や管理によって変化し、初乳を介してから親から子へ受け継がれます。初乳は可能な限り親や農場内の牛のものを活用しましょう。近年は栄養素と抗体を含む初乳製剤や、抗体のみ補給する初乳サプリメントなどが販売されています。初乳品質に合わせて効果的に活用しましょう。

 

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注意1  初乳と初乳製剤を混ぜるとき

   初乳製剤を活用する際は、規定量のお湯で溶かしてから、初乳と混ぜましょう。初乳に初乳製剤の粉末を混ぜると、脂肪の濃度が高すぎて消化不良による下痢になる場合があります。

 

注意2  凍結初乳を溶かすとき

   抗体(=タンパク質)は熱で変性してしまいます。凍結初乳を溶かす際は45℃未満で湯せんしましょう。

 

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