根室農業改良普及センター営農技術情報 令和1年12月

本年産サイレージの栄養価について

  本年産サイレージの開封が始まりました。根室管内の今年の気象状況とチモシーの生育状況を振り返り、サイレージ分析結果から、本年産サイレージの特徴をまとめました。

1.気象状況とチモシーの生育

  気温と日照時間は4月から6月上旬までは平年を上回り、降水量は7月下旬まで平年より少なく推移しました。気温と日照時間が高く推移したため、出穂期は平年より5日早まりました。また、6月下旬は好天が続き、収穫期も平年より早まっています(表1)。

  一番草の乾物収量は平年より多い傾向でしたが、出穂期が早まったため、収穫時の生育ステージが進んでいる可能性があります。

 

 

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2.サイレージ分析値から

 

  根室管内で10月末までに開封・分析が行われている本年産1番草サイレージ(173サンプル)の分析値と、H30年産(143サンプル)、H29年産(193サンプル)の一番草サイレージ分析値を比較しました。

  繊維の総量を表すNDF(中性デタージェント繊維)の値は、H30年、H29年の傾向と比較すると低い値で分布しています(図1)。Ob(低消化性繊維)の値は、刈り遅れ傾向だったH30年と比較すると低い値で分布しています。また、比較的良好なサイレージ品質だったH29年と比較すると似た分布を示しています(図2)。このことから、サイレージ中の繊維割合は少なく、繊維の消化性は良好という傾向がわかります。

  CP(粗蛋白質)は、過去2年と比較するとやや低い値で分布しています(図3)。 

 

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3.本年産一番草サイレージの傾向     

 

  本年産サイレージは、分析値の分布にばらつきが少ない特徴があります。これは、短い収穫期間で均一な品質のサイレージを収穫できたためと考えられます。

  NDFおよびObの傾向から、繊維の消化性は高いことが期待できます。CPは低い傾向にあるため、サイレージの分析値を踏まえて蛋白質飼料を補うことを検討しましょう。

  高い消化性が期待できる本年産サイレージは、十分な給与とエサの掃き寄せ、飲水量の確保により、更に乾物摂取量を高めることができます。サイレージは定期的に分析を行い、栄養価と発酵品質を確認することを心がけましょう。

  

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