草地更新時の除草剤散布はタイミングが命!
草地更新(以下更新)の目的は収量の増加や植生改善を行うためですが、その反面、多額の費用と時間がかかるため、「更新直後から雑草が多い!」など更新の失敗は大きな損失になります。ここでは、除草剤を上手に活用し、雑草の少ない更新のポイントについてご紹介します。
1 前植生処理
更新する草地の既存植生を枯殺処理(グリホサート系除草剤など)してから耕起または表層攪拌しては種する方法です(写真1)。
写真1 前植生処理による既存植生の状態
地下茎型イネ科雑草(シバムギ、リードカナリーグラスなど)は長い地下茎を持つ(写真2)ため、耕起作業の前に除草剤により十分に枯死させる必要があります。
写真2 シバムギの長い地下茎
~ポイント~
(1)除草剤散布時の草丈は、シバムギ40cm、リードカナリーグラス60cm程度を目安にする。
(2)除草剤散布から耕起までの期間は、最低10日間空ける(地下茎に除草剤を十分に行き渡らせるため)(図1)。
図1 前植生処理の工程
2 は種床造成後処理(は種前処理、は種同日処理)
は種床造成後、土中の雑草種子を発芽させ、それらに除草剤を散布してからは種する方法です(写真3)。イネ科雑草のほかギシギシ、アカザなどの広葉雑草も対象です。
写真3 は種床造成後処理による雑草発芽後の状態
~ポイント~
(1)は種床を作った後、一定期間(40~60日間)置き、雑草が生え揃うのを待って除草剤を散布します。
(2)除草剤散布後、当日~10日以内には種を行います。
3 前植生処理とは種床造成後処理を組み合わせた方法
特にリードカナリーグラスが優先した草地では、先述した1と2を組み合わせると効果的です。その場合、9月下旬以降(2番草収穫から約20~30日後(草丈20~50cm))に除草剤散布を行います。
理由は、リードカナリーグラスが越冬のため栄養を地下茎に貯めるのを利用して、植物体全体に除草剤を行き渡らせるためです。
翌春には種床造成を行い、残った土中の雑草種子を発芽させます。発芽した雑草に除草剤を散布して枯死させ、遅くとも10日以内に牧草種子をは種します。デメリットとしては草地を利用できない期間が長くなるので計画的に更新を行う必要があります。
※薬量等の詳細につきましては、JAまたは普及センターまでご相談下さい。
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