根室農業改良普及センター営農技術情報 令和2年11月

今年分析した分析票を見てみよう!

 多くの農業者が、今年の草地管理を終えられる頃だと思います。作業が落ち着いたら、今年分析した土壌分析票を確認してみませんか。今回は、土壌分析票の見方と重要項目のpHの低下について紹介します。

 

土壌分析票の見方について

 

主な分析項目について  

 

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図1   草地土壌分析結果票のイメージ

 

(1)pH

    酸やアルカリの強さを示しています。降雨や化学肥料の影響により、土壌は酸性化しやすい特性があります。酸性化するとリン酸の利用効率が低下するなど、作物に影響を与える場合があります。

 

(2)リン酸、カリ、石灰、苦土

  それぞれ、作物が利用できるリン酸、カリ、石灰、苦土の量を示しています。

 

 

(3)苦土・カリ比

      苦土とカリの比率を示しています。苦土とカリの吸収は拮抗作用を持っているため、効率よく吸収させるためにはバランスを取 ることが重要です。

 

  

 

重要項目のpHの低下について     

 

 

(1)土壌への影響

  1)アルミニウムの可溶化(牧草の生育にとって有害)

  2)微生物の活動が低下

  3)アルミニウムとリン酸が結合しやすくなり、牧草のリン酸吸収を阻害

 

               ↓

 

(2)牧草への影響

  1)牧草の生育が阻害

  2)有機物分解や養分供給力の低下

  3)リン酸の肥効率の低下

 

 

 各牧草には好適pHがあり(図2)、土壌を好適pHに維持するには石灰資材などを施用します。北海道施肥ガイド2015では草地土壌のpHが5.9以下の場合、石灰資材の施用が必要です。

 JA道東あさひにおける2019年7~8月採取土壌分析の結果では、pH5.9以下の草地が78%あり(図3)、多くの草地で石灰資材の施用が必要な状況です。これを機会に、今年の土壌分析票を確認しましょう。

 

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図2    牧草の好適pH (土と肥料のハンドブック  肥料・施肥編を参考に作成)

 

 

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図3    土壌pHの分布割合  (JA道東あさひ   2019年7~8月採取土壌)

 

土壌pHの改善に取り組む方は、普及センター、又は、JAにご相談下さい。

 

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