今年分析した分析票を見てみよう!
多くの農業者が、今年の草地管理を終えられる頃だと思います。作業が落ち着いたら、今年分析した土壌分析票を確認してみませんか。今回は、土壌分析票の見方と重要項目のpHの低下について紹介します。
土壌分析票の見方について
主な分析項目について
図1 草地土壌分析結果票のイメージ
(1)pH
酸やアルカリの強さを示しています。降雨や化学肥料の影響により、土壌は酸性化しやすい特性があります。酸性化するとリン酸の利用効率が低下するなど、作物に影響を与える場合があります。
(2)リン酸、カリ、石灰、苦土
それぞれ、作物が利用できるリン酸、カリ、石灰、苦土の量を示しています。
(3)苦土・カリ比
苦土とカリの比率を示しています。苦土とカリの吸収は拮抗作用を持っているため、効率よく吸収させるためにはバランスを取 ることが重要です。
重要項目のpHの低下について
(1)土壌への影響
1)アルミニウムの可溶化(牧草の生育にとって有害)
2)微生物の活動が低下
3)アルミニウムとリン酸が結合しやすくなり、牧草のリン酸吸収を阻害
↓
(2)牧草への影響
1)牧草の生育が阻害
2)有機物分解や養分供給力の低下
3)リン酸の肥効率の低下
各牧草には好適pHがあり(図2)、土壌を好適pHに維持するには石灰資材などを施用します。北海道施肥ガイド2015では草地土壌のpHが5.9以下の場合、石灰資材の施用が必要です。
JA道東あさひにおける2019年7~8月採取土壌分析の結果では、pH5.9以下の草地が78%あり(図3)、多くの草地で石灰資材の施用が必要な状況です。これを機会に、今年の土壌分析票を確認しましょう。
図2 牧草の好適pH (土と肥料のハンドブック 肥料・施肥編を参考に作成)
図3 土壌pHの分布割合 (JA道東あさひ 2019年7~8月採取土壌)
土壌pHの改善に取り組む方は、普及センター、又は、JAにご相談下さい。
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