本年産サイレージの栄養価について
本年産サイレージの開封が始まりました。根室管内の今年の気象状況とチモシーの生育状況をサイレージ分析の結果から、本年産サイレージの特徴をまとめました。
1 気象状況とチモシーの生育
気温と日照時間は6月中旬までは概ね平年並かそれ以上となり、降水量は6月中旬までは平年より少なく推移しました。気温と日照時間が比較的高く、やや水分不足気味で推移したため、出穂期は平年より4日早まりました。しかし、6月下旬から曇天・降雨が続いた影響で、収穫期が平年より遅くなっています(表1)。
一番草の乾物収量は平年並からやや多い結果でしたが、出穂期が早まったため、収穫時の生育ステージは進んでいる可能性があります。
2 サイレージ分析値から
根室管内で10月末までに開封され、分析が行われている本年産一番草サイレージ(238サンプル)の分析値と、R元年産(173サンプル)、H30年産(143サンプル)の一番草サイレージ分析値を比較しました(分析値はホクレン調べ)。
繊維の総量を表すNDF(中性デタージェント繊維)の値は、R元年、H30年の傾向と比較すると高い値で分布しており、NDF70%以上のサイレージが全体の64%を占めています(図1)。
また、CP(粗蛋白質)は過去2年と比較すると低い値で分布しており、CP10%以下が65%となっています(図2)。
TDN(可消化養分総量)も過去2年と比較すると、低い割合が多い状況です(図3)。
3 本年産1番草サイレージの傾向
本年産1番草サイレージは、春先の天候が良好であったことから、牧草の生育が順調に推移したと考えられます。しかし、収穫がやや遅れたことにより、刈り遅れの状態にあったと推測されます。
分析値を見ると、NDFが高いことから、採食量の低下が懸念されます。また、CPやTDNが低い傾向にあるため、昨年産と同様の給与量では栄養が不足する恐れがあると考えられます。
このように、栄養価が過去2年よりも低い結果となった本年産サイレージの給与に際しては、ビートパルプなど良質な繊維源の併給や、粗濃比に注意しながらの配合飼料増量を検討しましょう。
また、飲水量の確保や飼槽のエサ寄せ、糖蜜の添加などで、乾物摂取量の低下を抑えることが可能となります。
サイレージの品質は定期的に分析を行い、栄養価と採食性を確認することを心がけましょう。
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