根室農業改良普及センター営農技術情報 令和3年3月

作業の省力化を進めるヒントに

 省力化を進めるためには、「ムダを無くす」「働きやすい環境を整える」ことが大切です。日々繰り返される作業内容や労働環境の問題点の多くは、見逃されがちです。第三者から見た労働調査は、自家の労働の特徴や問題点の発見につながります。

 

1.働き方の特徴と省力化のターゲットを把握

 

 普及センターで実施した労働調査の事例を紹介します。調査した2農場の経営概要と労働時間を表1と図1に示しました。2農場ともに搾乳時間(準備・片付け時間含む)と飼料給与時間の合計はほぼ同等ですが、A農場は飼料給与時間、B農場は搾乳時間が多い特徴が見られました。

 搾乳と飼料給与作業に見られるムダは、「乳房炎牛の対応」や「品質の悪いサイレージの廃棄」などです。2農場では特にムダな作業は無かったのですが、A農場は飼料給与、B農場は搾乳作業が省力化のターゲットとなりそうです。

 配合飼料の給与量が想定した量よりもずいぶんズレていることが多々あります。これは、育成牛に限ったことではありませんが、気温の低い冬場は育成牛の飼料要求率が高くなるため、「はかる」の見直しが最も効果のあるタイミングです。

 この機会に、ぜひ1杯の重さを正確に量り給与量の改善を進めましょう。

 

   

表1   調査農場の経営概要 

 

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                                図1  1日の作業時間

 

 

2.働きやすい環境の整備     

 

 

 図2に作業別歩行時間と一日の歩行距離を示しました。2農場ともに歩行距離・歩行時間も長い傾向にありました。例えば搾乳作業のムダな歩行を少なくするためには、搾乳カートやユニットレールの利用、搾乳牛の群分け(行ったり来たりを無くす)などの改善が必要になります。合わせて、施設内の整理・整頓・清掃をしっかり行い、スムーズでシンプルな作業の動線を確保しましょう。また、機械化の可能性や同時進行で進められる作業の組み立てを検討しましょう。

 

 

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図2   作業別歩行時間と一日の歩行距離   

 

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3.労働生産性を考えよう

 時間当たりの生産量を知ることも効率的な作業を進める上で重要です。AとB農場は同じような経営規模、経営スタイルであっても1時間当の生産乳量に差が見られます(図3)。人間の労働時間は無限ではありません。どれ位働けるのか(働きたいのか)をしっかり見極め、労働時間に対する生産量(労働生産性)を高める取組が必要です。労働調査は労働改善点の明確化に役立ちます。関心のある方は、普及センターにご相談下さい。

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図3   作業者1人・1時間当生産乳量         

 

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