根室農業改良普及センター営農技術情報 令和3年4月

牧草地の冬枯れ対応策について

 冬枯れによる裸地化が甚大な場合、収量性へ著しい悪影響を与えます。融雪後早急に圃場を観察し、回復が見込めない場合は、下記の手順を参考に対応策を考えます。

 

1.観察(冬枯れが発生しやすい圃場)

 (1)耐凍性の低いペレニアルライグラスやオーチャードグラス草地   

 (2)水が溜まりやすい窪地や排水不良の草地

 (3)新播草地でかつ播種が遅れ生育期間が不十分な圃場

   

     以上該当する圃場については、優先して観察を実施します。      

 

 

 

2.判定(冬枯れの種類と確認)     

 

  冬枯れを大きく分けると4つとなり、その特徴は以下のとおりです。

  

 (1)凍上害・・・地中水分が凍り、霜柱や断根により枯死する 

 (2)凍    害・・・低温で細胞が致死する生理的凍害

 (3)アイスシート害・・・停滞水の凍結で嫌気状態となり枯死する

 (4)雪腐病・・・積雪下の菌核病菌で芽が腐死する雪腐病(被害草は下記参照)

 

  

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写真1  雪腐大粒菌核の状況                                    

被害:オーチャードグラス・ペレニアルライグラス    

 

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写真2  雪腐黒色小粒菌核の状況

被害:チモシー・アルファルファ・ペレニアルライグラス

 

 〔牧草色からの判定について〕

 ・新播草地は春でも緑色をしています。図1に基づき外見色による生存判断と、茎や根元内部をみて枯死を確認します。また、牧草の個体数が、概ね100平方cmに5個体以下の場合は追播を考えます。

 ・経年草地は枯草に覆われていますが、凍害を受けた場合は、根毎全部が抜けるため枯死と判断します。 

 

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図1   新播草地における冬枯れ判断フローチャート(出典:雪たねニュース第355号)

      

 

3.対応策(冬枯れの確定判定後)

◎追播の判定は草地の約3割が萌芽しない場合とし、圃場作業が可能になったら即時に行います。

・播種量は、初期生育に優れたTY早生品種を1.8kg/10a、WC0.2kg/10aを目安とします。

・新播草地や経年草地で、表層が柔らかければ土を攪拌し、ブロキャスか追播機で播種した後覆土します。

・表層が堅く部分的に冬枯れした草地であれば、作溝播種機での作業が最適です。

・霜柱で根や株が浮いている状況であれば、根が乾かないうちにローラーを掛けます。

 

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