牧草地の冬枯れ対応策について
冬枯れによる裸地化が甚大な場合、収量性へ著しい悪影響を与えます。融雪後早急に圃場を観察し、回復が見込めない場合は、下記の手順を参考に対応策を考えます。
1.観察(冬枯れが発生しやすい圃場)
(1)耐凍性の低いペレニアルライグラスやオーチャードグラス草地
(2)水が溜まりやすい窪地や排水不良の草地
(3)新播草地でかつ播種が遅れ生育期間が不十分な圃場
以上該当する圃場については、優先して観察を実施します。
2.判定(冬枯れの種類と確認)
冬枯れを大きく分けると4つとなり、その特徴は以下のとおりです。
(1)凍上害・・・地中水分が凍り、霜柱や断根により枯死する
(2)凍 害・・・低温で細胞が致死する生理的凍害
(3)アイスシート害・・・停滞水の凍結で嫌気状態となり枯死する
(4)雪腐病・・・積雪下の菌核病菌で芽が腐死する雪腐病(被害草は下記参照)
写真1 雪腐大粒菌核の状況
被害:オーチャードグラス・ペレニアルライグラス
写真2 雪腐黒色小粒菌核の状況
被害:チモシー・アルファルファ・ペレニアルライグラス
〔牧草色からの判定について〕
・新播草地は春でも緑色をしています。図1に基づき外見色による生存判断と、茎や根元内部をみて枯死を確認します。また、牧草の個体数が、概ね100平方cmに5個体以下の場合は追播を考えます。
・経年草地は枯草に覆われていますが、凍害を受けた場合は、根毎全部が抜けるため枯死と判断します。
図1 新播草地における冬枯れ判断フローチャート(出典:雪たねニュース第355号)
3.対応策(冬枯れの確定判定後)
◎追播の判定は草地の約3割が萌芽しない場合とし、圃場作業が可能になったら即時に行います。
・播種量は、初期生育に優れたTY早生品種を1.8kg/10a、WC0.2kg/10aを目安とします。
・新播草地や経年草地で、表層が柔らかければ土を攪拌し、ブロキャスか追播機で播種した後覆土します。
・表層が堅く部分的に冬枯れした草地であれば、作溝播種機での作業が最適です。
・霜柱で根や株が浮いている状況であれば、根が乾かないうちにローラーを掛けます。
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