根室農業改良普及センター営農技術情報 令和3年7月

は種遅れによる翌年一番草への影響

 根室管内でのチモシーのは種晩限は8月末とされています。普及センターでは別海町上春別地区に、は種時期・は種量を変えた調査ほ場を設置し、収量の違いおよび収量へ影響を与える要因について検証しました(写真1)。

図乳中脂肪酸の分類

写真1 調査ほ場の全景

は種の遅れは翌年一番草の収量を減少させる

 一番草の収量を図1に示します。9月以降には種した区画の乾物収量は、8月には種した区画の半分程度でした。また、8月には種した区画では、は種量による収量の差が少なく、通常のは種量(2.0kg/10a程度)で十分に収量が確保できることが確認できました。一方で、9月以降のは種では、は種量が多いほど収量が多い傾向が見られました。

図収量と茎数

図1 一番草(6/16時点)の乾物収量および茎数の比較

収量は茎数の影響を受ける

 8月は種と9月以降のは種で、茎数にも違いがありました(図1)。茎数が多いほど一番草の収量は多いため(図2)、は種が遅れず茎数が確保できれば翌年一番草の収量増加につながると考えられます。

図茎数と収量

図2 茎数と一番草収量の関係

は種の遅れは生育ステージが遅れる要因となる

 調査ほ場では、は種が遅いほうが、翌年の生育ステージが遅れていました。このことは越冬後の生育不良により裸地や雑草を増やすリスクになります。は種が遅れないことで収穫時点の生育ステージが進み、刈取り後の再生も早くなるため、植生維持につながります。

 今回の調査から、は種時期が遅くなるほど茎数が少なく、翌年一番草の収量が減ることが確認できました。は種晩限(根室では8月末)を守って草地更新を行うことが、収量確保およびその後の植生維持につながります。事業更新などでやむを得ずは種が遅れてしまった場合には、茎数を確保するためにも丁寧に整地・鎮圧を行い、発芽率を高めることが収量確保のために必要です。

 天候不順等で、は種時期が遅くなる場合には、JA、普及センターにご相談下さい。

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