根室農業改良普及センター営農技術情報 令和3年9月

災害への備えは日頃から

 大地震など自然災害による「停電」や「断水」はいつ発生するか分かりません。営農活動への被害を最小限に抑えるためには、普段からの備えや事前に災害発生時の想定をすることが大切です。

 災害時に営農を継続するためのポイントを定期的に農場で話し合いましょう。

停電や断水に備えた事前準備を!

非常用電源はすぐに使用可能ですか?

定期的に動作や配線の確認をしましょう。

画像発電機

受水設備は整っていますか?

水の使用量は1日約6,500リットル(経産牛60頭規模)と言われています。

画像水タンク

ポンプやホースの用意も必要です。

下記の表を参考に、農場内(初動対応や役割分担)で可能な対策を講じましょう。

表1  災害時に想定される影響と農場での対策例
災害の種類 農場への主な影響   検討が必要な対応と対策   日頃の備え
停電 ・搾乳作業が出来ない ・搾る/搾らないの判断 ・停電時の行動の確認
・バルククーラーが冷却不可 ・適切な生乳の処理
・パソコンデータが利用不可 ・緊急時に必要なデータの仕分け ・必要箇所を紙で保管
・牛舎設備が稼働不可 ・非常用電源の確保 ・発電機の動作確認
断水  ・牛の飲水確保が困難 ・受水槽の設置、給水の対応 ・受水設備の用意
・搾乳機器の洗浄が困難 ・状況に応じた飼養管理の変更 ・水源の確認
地震 ・生乳出荷が困難 ・私道、取付道路の修復 ・迂回路の確保
・飼料の配送が困難
・牛舎施設の破損 ・飼養管理の変更 ・遊休施設やパドックの確保

 

万が一、非常事態になった場合は?

 まずは自身の安全確保や農場関係者の安全確認が第一です。

 停電や断水時に見込まれる牛の飼養管理対策は、下記の通りです。

表2  災害時における乳牛の飼養管理対策
災害の種類 乳牛の飼養管理対策
停電 搾乳刺激を与えないように、牛舎への出入りは最小限に
粗飼料を増給し、濃厚飼料を多給(特に高泌乳牛は注意が必要)
泌乳末期牛は搾乳せず、乾乳にすることも検討する
断水 サイレージなど水分の多い粗飼料を中心に給与

 

表3  搾乳休止時の泌乳への影響など
搾乳休止時間 見込まれる影響など
~16時間 乳量や乳質に影響は少ない
16時間~48時間 乳量や乳質、乳房炎の発生へ影響が高まるが、通常の搾乳間隔に戻れば乳量は回復
48時間~ 乳汁分泌が停止し、乳量低下が懸念

 

(表1~3 :災害における酪農危機管理対策マニュアル〈北海道農政部〉より引用)

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