感染性蹄病のまん延を防止しよう
蹄病は一旦広がると経済的損失の大きい疾病です。蹄病は感染性のもの(趾間腐らん、趾皮膚炎(DD)など)と非感染性のもの(蹄底潰瘍、白帯病など)に分けられます。感染性の蹄病は放置しておくと、特にフリーストール牛舎では牛群全体に広がる恐れがあります。そうなると、牛は蹄の痛みで飼槽や水槽へのアクセスが不十分になったり、横臥時間減少などの影響で生産性や繁殖性が大きく低下する恐れがあります。徴候を早期に発見し、対策を取ることが重要です。
早期発見が大切です。
牛の様子を観察し、立ち止まっているときは背中が真っ直ぐでも、歩行時に背中が湾曲していれば蹄病に罹患している可能性が高いです(写真1)。その場合は、蹄の状態を把握し治療とまん延防止にとりかかりましょう。
写真1 蹄病罹患が疑われる牛の状態(根釧農試、2013より)
まん延防止対策について
感染性蹄病の伝播の予防策としては、蹄の水洗、蹄浴が効果的です。まず、牛群の下肢の汚れ具合を確認しましょう。それを目安に蹄浴を検討しましょう(表1)。
下肢に糞がほとんど付着していない | 下肢に糞が少し飛び散り付着 | 蹄から下肢にかけて糞の付着が目立つ | 蹄から下肢の上部まで糞が広く固くこびりついている | |
汚れの割合 | 25%以下 | 25~50% | 51~75% | 76%以上 |
必要な蹄浴頻度 | 必要に応じて | 2回/週 | 5回/週 | 7回/週 |
(米国Zinpro社技術資料を一部改変)
薬剤は様々な物がありますので、効果を確認して選択しましょう。薬剤を十分に効かせるためには、蹄浴前に蹄の汚れを落としておくことがポイントです。例えば、搾乳時にパーラーで蹄の水洗を行うといった方法があります。
蹄浴は蹄全体が最低2回薬液に漬かることが推奨されます。これを踏まえると、蹄浴槽は長さ3m以上、水深は10cm以上が必要とされています。また、通路の横壁は傾斜を付けて、90cm程度の高さにしておくと牛の流れが促進され、排泄が減ると言われています(図1)(The Wisconsin Blueprint for The Dairyland Initiativeより)。
牛を蹄の痛みから解放し、より健康な牛群を目指しましょう。
図1 蹄浴槽の設置例