春に向けて石灰資材の施用を検討しましょう!
草地更新して数年でマメ科牧草がなくなってしまったことやイネ科雑草が繁茂してしまったことはありませんか?植生を維持し良質な粗飼料を確保するためには、土壌の状況を把握し、適切に対応することが大切です!
牧草の維持には石灰資材の施用が不可欠です
土壌中のCaO(牧草が吸収できるカルシウム含量)が不足すると、マメ科牧草は衰退しやすくなります。マメ科牧草が衰退することで、裸地が増え、雑草も繁茂しやすくなり、その結果、粗タンパク質、ミネラル等の牧草栄養価の低下につながります。マメ科牧草の衰退を最小限に抑えるには、石灰資材を施用することが重要です。
普及センターで行った土壌採取と植生調査の結果から
①CaOと土壌pHの傾向
図1 採草地における石灰とpHの関係(根室市採草地、n=188)(厚層黒色火山性土壌のCaO基準値:300~500mg/100g)
CaOと土壌pHには相関関係がありました(図1)。また、CaOが少ない草地では、石灰資材を施用していないことが分かりました。石灰資材施用により、CaOを補給することができます。
②適切な石灰資材の施用によるマメ科牧草の維持
図2 更新後のマメ科牧草率の変化(根室市採草地、n=178)
草地が経年化するにつれマメ科牧草は衰退していきますが、石灰資材を適切に施用している草地では、施用していない草地よりマメ科牧草が長く維持されていることが分かりました(図2)。
石灰資材施用のポイント
- 施用のタイミング:秋散布か早春施肥の前の施用
- 必要な施用量:資材や土壌pH、土壌の性質などによって異なります(表)。
- ライムケーキの場合には、炭カルの1.7倍の量が必要です。
- pH5.5~6.0の場合、年間で必要な40kg/10aを2~3年分まとめて施用することも可能です。
pH | ~5.5 | 5.5~6.0 | 6.0~ |
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炭カル施用量 | 0~5cm土層のpHを6.0に改良するのに必要な量 | 40kg/10a/年 | 不要 |
施用の例(維持草地、土壌区分:火山性土、土性:壌土、腐植:富む)※計算式は省略
- pH5.7の場合、炭カルなら40kg/10a(ライムケーキの場合、68kg/10a)でpHの維持が可能。
- pH5.0の場合、炭カルなら135kg/10a(ライムケーキの場合、230kg/10a)でpH6.0に矯正可能。
石灰資材の施用を検討する際は、普及センターやJAにご相談下さい!