根室農業改良普及センター営農技術情報 令和4年4月

育成牛をしっかり馴致しよう

 馴致とは、なれなじませることです。育成牛のうちから、人、エサ、牛、環境、施設等への馴致をし、覚えてなれさせておくことで、飼養管理が楽に効率的になります。馴致が必要なことは、多岐にわたります。今回は生育ステージ毎の馴致と具体例として連動スタンチョンの馴致についてご紹介します。

1 ほ乳期(飼料・群)

 ほ乳期は牛にとって、初めての事ばかりです。人工乳(スターター)等の飼料も、給与されたらすぐに食べられるというものではありません。次の生育ステージで給与する飼料を少量給与しながら、場合によっては口元に運び食べさせる行為を継続し馴致していきましょう。

 また群管理にも馴らしていく必要があります。個体管理をしていた牛は、集団生活に馴れていないので、はじめて群管理をする場合は、似たような月齢・体格の牛で少頭数(3~5頭)の群を構成して馴致を行うと良いでしょう。

イラストハッチ

2 育成期(施設)

 牛を新しい環境に移動したときに、施設に馴れていない故の挟まれ事故や、嫌がって入らない等のトラブルを起こすことがあります。

 スタンチョンへの繋留、ウォーターカップからの飲水などは、使い方を牛に覚えさせる馴致が必要になります。ここでは、連動スタンチョンへの馴致を紹介します。

画像モシリ育成舎

写真 施設やパドックへの馴致を考慮した育成舎(株式会社mosir 別海町中西別)

連動スタンチョンへの馴致

 牛が連動スタンチョンを嫌がる場合、以下の様な嫌な経験をしている事が多いです。

  1. 本来頭を入れる場所ではない隙間等に頭を入れて抜けなくなる
  2. 連動スタンチョンから頭を抜くときは一度頭を持ち上げなければならないが、それを覚えていないうちに頭を持ち上げずに真後ろに下がったため、バーが開放されずに頭がひっかかって抜けなくなる

 連動スタンチョンに馴致するには、施設内の子牛が頭を入れやすそうな隙間を塞ぐことと、連動スタンチョンから頭を抜く方法を覚えさせることが重要です。

連動スタンチョンに対して1週間で馴致するスケジュール(例)

1~2日目:連動スタンチョンで、1日3回人工乳を給与する。スタンチョンのロックはかけず、子牛が自由に頭を出し入れできるようにする。挟まる牛がいないか確認し、1回の給餌は30分以内にする。給餌終了後に残餌を処分し、スタンチョンをロックし子牛が入らないようにする。

3~4日目:スタンチョンに馴れた牛には、ロックをかけて様子を見る。馴れない牛は、頭を上に上げてスタンチョンから頭を出す練習をさせるために、採食中にそっと近づき、頭をスタンチョンから出させ、そっと離れて、再び頭をスタンチョンに入れさせるという作業を繰り返し馴らしていく。

5~6日目:スタンチョンに馴れにくい子牛に対しても、ロックをかけてためす。一度ロックをかけて子牛が落ち着いている内にロックを解放し、子牛の頭を一度外に出させる。そっと離れて、また頭をスタンチョンに入れさせ、ロックをかける作業を何回か繰り返し馴らす。

7日目:全頭にスタンチョンのロックを行う。まだ馴れていない牛には、前日と同様の練習をさせる。ほとんどの子牛が7日間のスタンチョン馴致で、スタンチョンに入れるようになる。

少しずつ経験させて馴致を行い、牛も人もストレスの少ない飼養環境を実現させましょう。

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