土壌診断を活用した適正施肥のすすめ
肥料や飼料の価格が高騰しています。その対策には、飼料の自給率向上、粗飼料品質の向上、堆肥など有機物の有効利用、施肥の見直しなどがあります。いずれも粗飼料生産に係る大事な部分です。今回は、施肥の見直し方法についてご紹介します。
1 根室管内草地の土壌養分の現状
草地の土壌分析値を調査した結果、リン酸、カリの基準値超過が多い状況でした(図1)。カリは原尿やスラリーに多く含まれています。有機物の散布量や濃度に合わせた施肥を行うことで、粗飼料品質の向上や経費削減につながります。
図1 チモシー(TY)草地の土壌分析値分布割合(%)
(n=3373、R1~R3年、根室管内、ホクレン調べ) ※基準値は土壌区分により異なる。
2 適正施肥の流れ
経費削減に資するため、土壌診断から始まる一連の流れを図2に示しました。
土壌採取を行う際には、化学肥料や有機物の施用による影響が少ないと思われる最終番草収穫後~有機物散布前の時期が適当です。採取方法はJAや普及センター等にご相談ください。
具体的な施肥設計案は省略しますが、土壌診断の実施や有機物の適正利用、草地の植生状況により最大で50%以上の肥料コストを削減できる可能性があります。
図2 適正施肥への流れ
3 減肥の注意点
減肥に取り組む際は、以下のことに注意しましょう。
- 土壌分析値を見て施肥量を加減する方法は、下記QRコードのリンク先をご参照ください。リン酸が減肥できるのは3年間、カリは1年間のみです。
- 有機物の肥料成分は農場毎や貯留条件等でばらつきが大きいため、なるべく分析しましょう。分析値がない場合は表1を使用します。
- 有機物の散布は均一に行いましょう。
- 石灰は、土壌pHの維持やカルシウムの補給、肥効を高める効果があるので通常通り散布しましょう。
土壌診断による施肥設計手順(北海道農政部HPへリンク)