牛舎の火の用心!
牛舎で火災が起こると営農が困難になります。今回は火災が起きやすい冬に向けて大切な牛舎を燃やさないための点検や対策を紹介します。
消防庁の統計では、年間約百件の畜舎火災が発生しており、損害額も平均約一千万円と高額となっています(図1)。また、令和元年の畜舎火災では、全焼が全体の五〇%を占めており、一旦火の手が上がると被害が甚大になりやすいです。
図1 年間の畜舎火災件数と平均損害額
畜舎における火災の出火原因は、配線や電気によるものが最も多く、次いでたき火やストーブによるものが多いです(表1)。牛舎には、搾乳ロボットのような大型機械から、洗濯機のような家電まで、多くの電気機器があるため、定期的な点検が必要です。
表1 畜舎における出火原因(H29~R1)
※ 総務省消防庁 統計資料より
1 漏電の点検
ゴムなどの絶縁体が傷ついていると漏電が起き、電気設備に付着したホコリを発火させることがあります。また、感電する恐れもあります。
①配線の露出があるか
配線が扉に挟まれていたり、ネズミなどにかじられていたりすると、絶縁体が傷つき配線が露出します。露出している場合には、専門業者に依頼し、配線を新しいものに取り替えましょう。
②ホコリや結露に注意!
ホコリが溜まっていると、露出した配線から漏電し、火災の原因になります。普段の整理整頓や清掃を心がけましょう(写真1)。
また同様に、結露によっても漏電します。寒い日でも換気を行い、牛舎内の空気を動かして、結露を防ぎましょう。
写真1 処理室清掃の工夫事例
充分に予防しても必ず火災が起きないとは限りません。消火器や防火水槽を設置し、火災が起きたときに迅速に消火対応できるように準備しましょう。また家畜の避難方法や避難場所を検討することも大切です。
③電気保安協会等の定期点検
定期点検を受け、漏電の有無を確認しましょう!
2 過熱の点検
電気の使用容量をオーバーしたり、スイッチの接触が悪くなったりすると、電気抵抗が増加し過熱の原因になります。
①タコ足配線をしていないか
過度なタコ足配線を行うと、容量をオーバーしますので気をつけましょう。
②プラグが変化していないか
プラグが劣化し、コンセントにしっかり差し込まれていないと過熱の原因になります。
3 暖房器具の取り扱いに注意!
子牛のヒーターや溶接機の周りに乾草などの燃えやすいものを置いたり、ストーブの火をつけたまま移動したりすることはやめましょう。
十分に予防しても必ず火災が起きないとは限りません。消火器や防火水槽を設置し、火災が起きたときに迅速に消火対応できるように準備しましょう。また、家畜の避難方法や避難場所を検討することも大切です。