根室農業改良普及センター営農技術情報 令和5年1月

つなぎ牛舎の快適な飼養環境について

 冬期は夏期に比べて牛舎を長時間閉め切ることや、放牧農家では牛が牛舎にいる時間が長くなります。そのため、牛体が汚れやすくなったり、空気が淀みやすくなったりします。つなぎ牛舎で快適な飼養環境を実現するために、今一度、施設や飼養管理を確認しましょう。

1. 牛体の汚れを抑えるためには

 牛体をきれいに保つことで、被毛の保温効果の発揮、牛舎内のアンモニア臭低減、乳房炎リスクの低減などにつながります。牛体の汚れを抑えるためには、牛床衛生資材を投入する量と除糞回数がポイントです。牛床衛生資材は牛床の手前2/3には充分な量を投入しましょう(写真1)。除糞は決まったタイミングだけでなく、気づいたときに除糞することで、より牛体の汚れを抑えることができます。

画像牛床

写真1 牛床衛生資材の散布

2. 採食を快適にする

 牛の行動に制限がかかり、採食の妨げになることがあると、牛は腹一杯食べることを諦めてしまいます。採食量が下がると乳量の低下、被毛状態の悪化などにつながります。繋留時の細部確認や、摩擦による首の傷がないか確認してみましょう。ここで牛床施設の改善事例を紹介します。

改善前:採食時にネックチェーンの金具と首が摩擦し、採食の妨げになっていた。

  • 改善点1:ネックバーに巻きつけていたチェーンをはずし、繋留強度を緩めた。
  • 改善点2:金具の突起を牛床側から飼槽側に付け替えた。

画像短いネックチェーン

チェーンが短く、金具との摩擦で首に擦れ傷があった(採食の妨げになる)

画像緩めたネックチェーン

採食範囲が広がり、採食時に首の摩擦がなくなり傷が解消した

3. 新鮮な空気を取り入れましょう

 牛舎では、牛の呼気や糞尿からの水分、アンモニア、炭酸ガスの発生など、空気が汚れる原因が複数あります。その際に換気が不十分だと、①牛舎内の温度が上がることで結露が発生する、②牛床が乾きにくく乳房炎が発生する、③アンモニア濃度が上昇し呼吸器病が発生する、などの悪影響を引き起こします。

 冬期の換気方法として、牛の体に直接風を当てることなく、ゆっくりと牛舎内全体の空気を入れ換えることがポイントになります。

 換気扇がある場合は、常にゆっくり回し、凍結の心配が無い場合は牛舎内が冷えない程度に窓を少し開け、換気を行いましょう(写真2)。また、換気扇のない牛舎でも、暖かい日中は窓や扉をこまめに開け閉めして、出来るだけ新鮮な空気を取り込みましょう。

画像牛舎の窓を開ける

写真2 冬期でも少し窓を開ける

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