パドックをうまく利用することは、作業の省力化や発情行動を観察しやすくなるなどの利点があります。また、屋外で運動することで、牛のストレスが緩和されます。
「人にも牛にも優しいパドック管理」について考えてみましょう!
1.パドック利用のポイント
(1)パドックの土場の資材
土場の資材には、それぞれメリット、デメリットがあるため、これらを理解した上で利用することが大切です(表1)。水飲み場やぬかるみやすい場所は資材を変えたり、勾配を利用することで牛にとって快適で、かつ日々の管理もしやすくなります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
黒ボク土 火山灰 石炭灰 山砂など | ・蹄に優しい ・排水良好、乾燥しやすい ・コストが比較的安い ・資材が豊富にある | ・凸凹しやすい ・糞尿が混ざり、泥濘化しやすい ・こまめな管理が必要 |
コンクリートなど | ・凸凹しにくい、ぬからない ・機械作業が楽 ・保守管理が少ない | ・コストがかかる ・乾燥しにくい ・滑りやすい ・蹄に負担がかかりやすい |
(2)飼槽スペース、草架台の設置
パドックに牛を2~3時間以上出す場合には、頭数に応じた充分な飼槽スペースや草架台が必要です。また、草架台を使う場合には、ロールをほぐして給与することで、牛が食べやすくなり、粗飼料の乾物摂取量を高めます(写真1)。
写真1 草架台のロールをほぐして給与する農場
(3)水の給与
パドックでは、新鮮な水がいつでも飲めることが大切です。水槽の構造としては、飲み口が広く、浅く、掃除がしやすいものが理想です。また、水槽の周りが水浸しで滑ったりするような場所だと飲水を我慢してしまうかもしれません。水槽周りの整備も合わせて行いましょう。
2.パドックの泥濘(でいねい)化にご注意を!
雪解け時期や降雨などによるパドックの泥濘化は、①蹄病の増加、②乳房炎の増加、③家畜や畜舎の汚れ、などの要因となり、生産性を低下させる可能性があります。クリーン&ドライな環境を維持できるような管理が必要となります。
別海町のある農場では、下から砂利(厚さ20~25cm)、すのこ、火山灰の順で牛舎出入り口通路を層構造に施工することで泥濘化対策をしています(写真2)。
土壌表面の傾斜勾配(目安として3%以上の勾配)を付け表面排水を重視し、補助的に地下浸透させる構造となります。
写真2 牛舎出入り口に泥濘化対策を行う農場