根室農業改良普及センター営農技術情報 令和5年8月

気象リスクに対応した牧草の草種選定

 飼料高騰下、自給飼料の重要性は一層高まっています。牧草の収量や品質を向上させるため、草地更新時の草種選定について考えてみましょう。

1 1番草収穫時期の気象

 1番草の収穫が行われる6月~7月の降雨の状況を過去10年遡ると、6月18日~25日に降雨が多いことがわかりました(図1)。記憶に新しい2022年は連続した降雨があり、収穫作業が進められない状況でした。2023年は天候に恵まれ、収穫作業は順調に進んでいます。
気象の年次変動はありますが、1番草の安定的な収穫のため、気象リスクを考慮した収穫適期幅の拡大を検討してはいかがでしょうか。

図1 0.5mm以上の降水量があった回数
2013~2022年の別海町、中標津町
(気象庁HP より作成)

2 収穫適期幅の拡大

 チモシーの栄養収量が高い出穂始~出穂期の管内平年値は、6月15日~20日です。
一方、収穫始めから終りの期間は、平年で6月25日~7月15日と、前述の気象状況を反映した収穫作業となっていることがわかりました(図2)。栄養価が高い時期の収穫が計画通りにできず、牧草の品質低下を招く一因といえるでしょう。
そのような実態を踏まえ、適期に収穫できる草種構成を検討しましょう。
降雨リスク時期を外す草種は、オーチャードグラス、メドゥフェスクがあげられます。チモシーでは、極早生、晩生、極晩生の品種がそれにあたります。それらを選択することで、刈り取り適期が前後に広げられることが考えられます。
そのような草種、品種の導入にあたっては、現行の刈り取りスケジュールが変わることに留意が必要です。コントラクタなど外部委託している場合は、十分な調整が必要となります。特にオーチャードグラスでは、収量、品質を得るために3回収穫することが必要となりますので、作業に無理が生じないように計画を立てましょう。また越冬性が優れた品種を選択することも重要です。

図2 草種別の生育と収穫時期

オーチャードグラスの栽培・収穫試算

農作業事故を防ぎましょう

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