はじめに
根室農業の最大の強みは、圧倒的に豊富な自給粗飼料資源です。輸入飼料の高騰が続く中、 乳牛の主食となる粗飼料は経営を支える土台となります。粗飼料分析を通して栄養価や品質を把握し生産向上に活かしましょう。今回は粗飼料分析データのとくに重要な項目について説明します。
A 栄養品質
① 粗蛋白質(CP)
蛋白質は生命の維持や生産活動に不可欠な養分で、適期収穫された良質な牧草(とくにマメ科)は高い値となります。
② 可消化養分総量(TDN) 目標値:(乾物中)61%以上
飼料中の養分の中で消化吸収して得られるエネルギーです。飼料用とうもろこしは登熟が進むとTDNが高くなります。給与したタンパク質を効率良く乳生産につなげるためには、エネルギーとのバランスが重要です。
③ 中性デタージェント繊維(NDF) 目標値:(乾物中)60%以下
飼料中の繊維の総量を示します。反芻動物である乳牛にとって良質な繊維は重要ですが、 収穫適期を逃すとNDFが高くなり、相対的にTDNが低下します。エサの食い込みが落ち、乳生産に影響します。
B 発酵品質
④ pH・乳酸 (目標値:pH4.2以下 乳酸:1.5~2.5%)
サイレージ発酵の指標となります。pH4.2以下であれば良好な発酵と判断できます。
※ギ酸添加サイレージの場合は乳酸の値が低くなります
⑤ 酪酸・アンモニア態窒素/全窒素 (目標値:酪酸0.1%以下 アンモニア態窒素8%以下)
不良発酵の指標となります。高水分で土砂や糞尿が混入した場合には酪酸発酵
しやすくなり、嗜好性が落ち周産期病を引き起こすリスクが高くなります。
※ 次回は実際の給与場面での対応について説明します。