乳牛は気温が23~24℃を超えると強い暑熱ストレスを感じ、乳量や繁殖成績が低下してきます。
夏場の牛のコンディションを保つためにも、冬のうちから送風機の新調・増設について検討してみませんか?
A牧場の事例(つなぎ搾乳牛舎)
別海町のA牧場は令和5年の暑さを経験し、暑熱対策として古くなっていた送風機を6台交換し、さらに6台を増設しました(図1)。設置前後の風速を比較すると、各箇所で改善が見られました(★1~6で測定、牛舎内の風の流れを→で表しています)。
※窓と戸は閉め切った状態で測定
図1 A牧場の牛舎平面図と送風機の配置図
また、過去2年(7~9月)で最高気温が23℃以上の日数はほぼ同じでした。非常に強いストレスを受ける30℃以上の日は、令和6年では前年より10日少なかっ
たですが、それでも14日ありました。
これを踏まえて夏季間におけるA牧場の管理乳量を前年と比較したところ、設置後は8月と9月において5kg程度増加していました(図2)。
この事例では、設置費用は本体価格と工事費を併せて1台につき約6万円(合計72万円)でしたので、増加した乳量により約2ヶ月で費用の回収が可能だと試算されます。
なお、増設により月あたりの電気代は夏季間で5万円ほど上がりました。
図2 夏季間の管理乳量の比較
【参考】乳価を1kgあたり120円として概算すると120(円)×5(kg)×80(頭)×30(日)×2(ヶ月分)
=2,880,000(円)