根室農業改良普及センター営農技術情報 平成26年3月

 

 

根室農業改良普及センター営農技術情報   平成26年3月


 

 

 

乳検成績の見方~変更された成績表~
                                      (平成26年03月)

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 平成25年11月より、乳検検定成績表が新しくなったことにお気づきですか?今回の改正では、新しく追加された項目や、より詳しくなった表示など、有用なデータが満載です。これを機会に我が家の乳検データを今一度見直してみてはいかがですか。

 

1   新しく追加された項目

 今回これまでの乳成分に加え、MUNとP/F比が追加されました(図1-(1))。これにより乳成分を総合的に判断できるようになりました。

(1) MUN
 MUNは乳中尿素窒素のことです。
 飼料中のタンパクとエネルギーのバランスを見る指標です。一般的には飼料に含まれるタンパク含量が増える、もしくはエネルギーが減少すると値が増加します。目安は10~14mg/dlです。

(2) P/F比
 P/F比は乳脂率に対する乳タンパク率の比率(%)です。
 粗飼料の充足状況やルーメン発酵の状態を見る指標で、数値が高くなると濃厚飼料多給、低くなると飼料のエネルギー充足率の低下が疑われます。70~100%が目安(群の場合)となっています。

 

2   乳量階層、搾乳日数区分の追加

 今回の変更で、乳量と搾乳日数の区切りが以前より細分化されました。ここでは1産と2産以上で分けて傾向をつかむことができます。

 

(1) 乳量推移
 分娩直後(21日以下)極端に乳量の低い牛がいないか、ピーク乳量が順調に出ているかを確認します(図1-(2)(3))。これらに問題がある場合には、分娩前後の疾病、分娩から泌乳ピークまでの飼料給与方法、過密等管理方法に問題がないかを確認します。

 

(2) 体細胞数推移(単位万→千へ変更)
 初産牛の搾乳日数21日以下で体細胞数(図1-(4))が高い場合は、育成時もしくは分娩時の乳房炎感染、搾乳への馴致の不足等が推測できます。同様に2産以上での搾乳日数21日以下での体細胞数(図1-(5))が高い場合、乾乳牛の管理に問題があるか、分娩時の乳房炎感染を推測できます。搾乳日数全体の体細胞の傾向を見て(図1-(6))特定の時期に偏りがなく体細胞数が高くなった場合には、搾乳手法、搾乳機器の問題か、もしくはサイレージ品質悪化に起因する抵抗力の低下による乳房炎の感染も疑われます。

 

3   月別予定分娩頭数(図1-(7))
 今回の改正で掲載月が増え、半年以上先までの分娩予定頭数が把握できるようになりました。
 6~9月の農繁期に分娩が集中する場合、暑熱ストレスも加わり、分娩時の事故が増加するかもしれません。分娩房等の確保、暑熱対策は万全ですか?早めの対策が望まれます。

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図1   乳検成績表(一部抜粋、検定表左下部)

 

 乳検は、毎月、多大な労力とコストをかけ、蓄積したデータが詰まっています。今回紹介したのは一部ですが、自身の農場に必要なデータを見極め、活用しましょう。

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