根室農業改良普及センター営農技術情報 平成27年8月
残暑時も暑熱対策を
(平成27年 8月)
乳牛は、第一胃での発酵熱の発生や産乳による代謝熱など、自ら発生する熱が多いため暑さに弱い傾向にあります。 ここ数年、盛夏のみならず残暑時にも気温が高い場合があります(図1)。気象の推移には注意が必要です。 |
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図1 過去3年の最高気温推移 (別海町8~9月) |
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1 送風・換気対策 | |
22℃以上の気温が続いた場合や夜間の気温が低下しない時など、乳量や繁殖成績に大きく影響し、暑さのピーク後もその影響が残ります。牛舎の開放面積を最大限に広げるなど、換気量を確保する工夫に引き続き取り組む必要があります。 送風は体感温度を下げる効果が大きく、風速1mの風で、6℃体感気温が下がります(表1)。牛体に直接風があたるように、送風ファンを設置します。 |
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表1 風速による体感気温の違い |
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2 直射日光対策 | |
牛舎内に西日が長時間入ってくる時期となります。 遮光ネットやすだれで直射日光をさえぎると(写真1)、コンクリートの表面温度は10℃前後まで下がります。ただし遮光ネットなどの設置時は、前述の送風・換気効率を低下させないよう、留意します。 |
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写真1 すだれの設置例 |
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3 乾物摂取量の確保 | |
飼槽・水槽における残飼の変敗や臭いの発生が気になる時期です。一口でも多く食い込ませる工夫で、乾物摂取量を落とさないようにしましょう。 |
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写真2 水槽ベロの裏まで綺麗に清掃! 写真3 餌寄せで採食量をアップ! |
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4 ミネラル、ビタミンの補給 | |
発汗などによるミネラル排出や暑熱時のビタミンの損失量の増加に対応し、ミネラル・ビタミンは1~2割程度増給します。固形塩を使う場合、搾乳牛には濃厚飼料と一緒に粉砕塩を50グラム程度給与した上で、固形塩を自由になめさせると、より確実に補給できます。またルーメン発酵を安定させるため、重曹の給与も有効です。 |
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5 夏~秋期の放牧管理 | |
暑熱対策とは異なりますが、この時期の放牧の課題も乾物摂取量の確保にあります。今後、放牧草の草勢が衰えていく時期となるため、牧区の設定などの工夫が必要となります。 |
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写真4 兼用地でも給水は大切です |
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