根室農業改良普及センター営農技術情報 平成28年2月

 

 

根室農業改良普及センター営農技術情報   平成28年2月


 

 

敷料としてのおが粉
                                      (平成28年 2月)

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  根室管内では、ふん尿のスラリー処理体系が多く、敷料にはおが粉が多く利用されています。おが粉は扱いやすく、吸湿性も高い優れた敷料ですが、有機物であり、環境性乳房炎の原因菌にとっては格好の栄養源にもなってしまいます。
 環境性乳房炎が増える原因の中には、この敷料のおが粉に含まれる大腸菌や連鎖球菌が関係していることも少なくありません。普及センターでは、根室管内9戸の酪農家の協力を得て、昨年の8月から9月にかけて、敷料に含まれている大腸菌群を調査しました。
 
 おが粉の水分と細菌数

    使用前のおが粉の水分が30%を越えると、大腸菌や大腸菌群が増加してきます(図1)。

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図1  おが粉の水分と大腸菌群数 

 
牛床は前方も汚れている
  敷料のおが粉を、牛床の前方と後方に分けて採取して菌数を調べた結果、前方と後方では細菌数に大差ないことが確認されました(図2)。細菌数の多少は見た目では判断できません。
  敷料は後方の汚れた部分を取り除くだけでなく、牛床全体の敷料を交換することも必要です。前方の敷料を後方へ広げることは、牛床全体にに菌を広げてしまうことになります。
 

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図2   牛床の前方と後方の細菌数
(フリーストール4戸、繋ぎ1戸の平均)

 

消石灰の混合による殺菌効果

  敷料のおが粉を殺菌するには、消石灰を重量比で3~5%程度添加することが勧められています。今回の調査でも、消石灰を重量比で3%混合することで、強アルカリ性による殺菌効果を確認できました(図3)。
 

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図3   消石灰の混合割合と大腸菌群数の推移 

 

  しかし、消石灰は時間の経過とともに、空気中の二酸化炭素と結合して炭酸カルシウムになり、殺菌効果はなくなってしまいます。消石灰を混合した敷料は定期的に追加・交換することが必要です。
 
  乳頭や乳房に直接触れる敷料の中の細菌数を、できる限り少なくしておくことが、環境性乳房炎予防にとって重要なポイントになります。敷料と牛床の管理を今一度、見直してみましょう。
 

おが粉に混合する消石灰の量のめやす

 

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・ 調査したおが粉の容積重

 おが粉1m3で   約230kg  (210~270kg)

・ 消石灰混合割合   (重量比 3~5%)

 消石灰7~12kg

 

 おが粉1m3に対して、消石灰10kg程度を混合 
 

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 手入れの行き届いた牛床の例

 

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