根室農業改良普及センター営農技術情報 平成29年6月
涼しい根室こそ早めの暑熱対策を! (平成29年6月)
根室は道内でも冷涼な地域です。涼しい地域ほど、暑い日は応えませんか?牛も同じです。たった3日、暑い日が続くだけで乳量が落ちてくる場合があります。本当に暑い日が来る前から暑さ対策を万全にしておきましょう! |
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1.暑熱ストレスについて | |||
暑熱ストレスは、温度と湿度が深く関係しています。表1は、ストレスを感じる程度を表す温湿度指数(THI)です。乳牛の場合、この値が「72」(67という説も)を超えると暑熱ストレスを感じ始めます。表の通り、温度(気温)が20~22度でも、湿度によっては、乳牛は十分暑熱ストレスを感じています。 牛舎内に温湿計やヒートストレスメーター(写真1)を設置し暑熱対策を行う目安にしましょう。 |
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表1 温湿度指数(THI) |
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THI=0.8T+0.01H(T-14.3)+46.3 T=温度、H=湿度 出典:生産獣医療システム乳牛編3 Johonson(1962) |
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写真1 ヒートストレスメーター |
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2.暑くなると牛はどうなる? | |||
牛は、体内にルーメンという発酵タンクを持っています。そのため、暑さに大変弱い動物です。人には心地よい気温でも、牛は暑さで参っているかもしれません。牛が暑熱ストレスを受けると、次のような兆候を示します(図1)。 |
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図1 暑熱時の牛の主な兆候 |
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もっとも早く表れる牛の変化は、寝ないことです(写真2)。いつもなら牛舎に横たわり反芻する時間に、牛が立ったままでいたり、牛の呼吸が速いと感じたら、暑熱ストレスを受けているサインです。 | |||
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写真2 寝ない牛が増える |
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3.暑熱対策 | |||
暑熱対策は、暑熱ストレスに関わる温度、湿度、日照、風速をコントロールすることが必要です。 |
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牛舎内の換気・送風 | |||
湿度の上昇とともに牛の体感温度が上がります。換気をして、牛舎内の湿度を下げましょう。牛の体温を下げるには、牛体への送風がきわめて効果的です。ファンを全開に回しましょう。 | |||
日差しをさえぎる | |||
日中に牛をパドックや放牧地へ出す場合は、庇陰林や日陰のある場所へ放しましょう。 | |||
新鮮な水を十分に | |||
暑熱時は発汗により体内の水分が失われるため、飲水量が増えます。いつも以上に牛が飲みたい時に飲める環境を整えましょう。 | |||
乾物摂取量を高める工夫 | |||
気温や体温の変化と採食行動は連動しています。気温が下がり、採食行動を起こす時間帯の飼料給与やエサ押しが効果的です。 | |||
ミネラルの補給 | |||
暑熱時は汗と共にミネラルが流出するため、ミネラルの要求量が増加します。粉砕塩等のミネラル資材を欠かさないようにしましょう。 | |||
乳牛が発するサインを察知し、早めの暑熱対策で夏場の生乳生産を維持しましょう。 | |||