営農改善資料発行!2
この資料は、将来構想の考え方、労働生産性を考慮した農場全体のシステムのあり方、投資するにあたって事前に準備しておくことについて掲載しています。
先月から計4回にわたり概要と活用事例の紹介をします。
第2章 農場全体のシステムを考える
農場の将来計画を考えた時、「搾乳牛舎の新設」や「コンピューターによる牛群管理などの最先端技術の導入」のみの計画を検討してはいないでしょうか?農場全体の労働生産性を高めるためには、牛舎全体とその付帯施設が連動した作業で結ばれる仕組みを構築することが重要です。農場の立地条件に基づいた管理体系、労働配分にも留意して検討しましょう。
「農場全体のシステム・レイアウトを見通すこと」について、検討するポイントを紹介します。
1 作業体系
搾乳施設を新規投資する際は、将来、目標とする搾乳頭数から施設を考えます(表1、2、3)。
表1 つなぎ牛舎(単位:分) H11年根釧農業試験場
表2 ミルキングパーラー(単位:分) H11根釧農業試験場
表3 搾乳ロボットシステム 普及センターによる現地調査・搾乳ロボット導入の手引き
農場の規模や作業体系、労働力のビジョンが見えてきたら、次は、付帯施設について考えます。
2 付帯施設
搾乳牛頭数が増えるに従い、農場全体の飼養頭数は増えていきます。全ての作業を自己完結で行うのか、TMRセンターや哺育預託センターのような営農支援組織を活用するのかにより、必要な施設及び機械の規模や数は変わります。
どのような施設が、どのくらいの規模で必要なのかを検討しましょう。
(1)乾乳牛舎・哺育施設・育成牛舎
牛の成育ステージによって、1頭当たりに必要なスペースは異なります。快適に過ごすことができるように、ステージ毎に必要な面積を確保しましょう。
(2)糞尿施設
当地域では、圃場の土壌凍結や積雪により糞尿散布ができない「約6ヶ月分」の貯留施設が必要です。
(3)サイロ施設
バンカーサイロは、飼料作物の収穫・調製作業と毎日の利用を考えた大きさ、サイロ前の通路幅(スペース)の確保、排汁対策が必要です。
(4)その他施設
「産褥牛・治療牛のための施設」「敷料庫」「飼料庫」「機械格納、整備庫」「酪農関連排水(パーラー・処理室・酪農雑排水)処理施設」についても検討が必要です。
3 農場のレイアウト
牛舎を建てる際は、表4の条件を念頭に置いて場所を考えましょう。
表4 牛舎を建てる際の検討内容(改善資料より抜粋)
4 現地事例
つなぎ飼い、フリーストール・ミルキングパーラー、搾乳ロボット牛舎など6事例を紹介しています。
家庭や地域を考えた上での経営のビジョンや投資の考え方、投資後の感想が書かれています。
営農改善資料の巻末には、農場レイアウトを検討するための施設パーツを添付しています。航空写真を使いながら農場の将来を検討してみませんか?
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